地図の読図過程における地理的知識と空間的能力の役割
Project/Area Number |
14658020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human geography
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
若林 芳樹 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (70191723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村越 真 静岡大学, 教育学部, 助教授 (30210032)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 地図 / 空間認知 / 地理教育 / 空間的能力 / 地理的知識 / 認知科学 |
Research Abstract |
本研究は、中等・高等教育レベルでの地図指導を念頭に置いて、学生の地図読図過程を調査し、個別的な地理的知識と一般的な空間的能力の作用を検討した。その結果、以下の知見が得られた。 (1)大学入試センター試験問題の中から、異なるスケールや主題に関する地図を用いた設問を選択し、学生の解答過程を定量的・定性的に分析した。その結果、大縮尺の地形図読図問題では教科以外の一般的知識や空間的能力が重要だが、小縮尺の主題図を使用した設問では、地名とその位置に関する個別的知識が大きな影響を及ぼすことが判明した。また、高校や入試での地理の履修は、地形図の読図や絶対位置・世界地誌に関する問題を解くのに影響し、とくに地形図の読図問題では方向感覚のような空間的能力も影響しているのに対し、日本国内の主題図を用いた問題では地理の履修や空間的能力による差は小さかった。このことから、用いられる地図や設問の性質に応じて、地理的知識や空間的能力の影響の仕方も異なるといえる。 (2)大学入試センター試験の地理で過去に出題された地形図読図問題を高校生に解いてもらい、解答手順に関する追観的発話報告を分析した。その結果、読図過程は「問題文の地図記号表象への変換」「記号・パタンの探索」「解答の選択・確認」という段階から成り、それらに地理的スキーマが利用されていることが確認された。また、問題解決における認知的プロセスには出題者の意図との間で齟齬もみられ、選択式の地図読解問題の妥当性や問題点も明らかになった。 (3)地図と移動経験に基づく道案内文と道案内図における環境の記述がどのような特性をもつのかを、大学生を対象にして検討した。その結果、経験からの道案内文では地図からのそれに比べて選択点に記述が集中するのに対し、変形交差点では誤った記述が地図よりも多く見られた。また、道案内文と道案内図の生成表現には共通の特徴が見られるものの、経路の記述は図で表現する方が文の場合よりも多かった。これらの結果から、移動経験と地図により獲得された空間情報の特性の違いが明らかになった。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)