Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
情報セキュリティの基盤として,暗号は必要不可欠な技術である.これまでの暗号技術では,一般に,情報を秘匿するための暗号化,秘匿された情報を元に戻す復号化のいずれの過程にも計算機が利用される.これに対して視覚的暗号とは,復号化にあたって計算機を必要とせず,人間が目で見るだけで復号化できる暗号である.たとえば,「砂の嵐」状のランダムなOHPシートを重ねると,そこから文字が浮び上がるようなものがある.本研究では重ねられるOHPシートと重ねて得られる結果として,一般的な画像(自然画像)を扱えるものを目指す.今年度は中間階調の実現法とカラーの扱いについて考察した. 中間階調はハーフトーニングによって実現される.すなわち画像中の1ピクセルを細かなサブピクセルに分割して,黒白のサブピクセルの比(面積比)によって中間階調が実現できる.しかし,サブピクセル数を増やせば個々のサブピクセルは小さくなり,2枚のOHPシートの位置を合わせることが非常に困難になる.従来の研究ではハーフトーニングにドット分散型を利用していたため,1ピクセルはランダムなサブピクセルのパターンによって実現されていた.したがって,サブピクセル分だけズレが生じると合成画像が実現できなくなる.一方,ドット集中型のハーフトーニングは合成画像の輝度を実現するための自由度が本質的に欠けている.そこで本研究では,白黒の2値に加えて,1つだけグレー値を許すことにより自由度を増して合成画像の輝度を制御できるようにした.従来では位置合わせの問題から3x3サブピクセルが事実上の限界であったが,本研究の手法によって解像度の制約がなくなり,事実上連続階調のグレー画像が実現できるようになった. カラーの利用にあたっては色再現が大きな問題となる.実際のところ2枚のOHPシートの重ね合わせによって作られる色の再現ばかりでなく,単に1枚のOHPシートの色を制御することも困難である.そこで,一様な中間色に見える1枚のシートにマスクをかけると元の画像が再現されるスキームを検討した.CIE-XYZ空間において補色計算することで中間色の実現を試みた.プリンタでは出力装置の特質に由来する技術的困難が残されているが,液晶ディスプレイやプロジェクタなどの加法混色にもとづく出力機器では好ましい結果が得られており,手法の基本的な有効性が確認された.
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