水素注入酸化物セラミックスの常温空気水蒸気接触による水素ガス放出の持続機構の解明
Project/Area Number |
14658139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
エネルギー学一般
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Research Institution | Meijo University (2003) Nagoya University (2002) |
Principal Investigator |
森田 健治 名城大学, 理工学部, 教授 (10023144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 伸也 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (20284226)
曽田 一雄 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70154705)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Keywords | 常温水素ガス生成 / 水素ガス発生触媒 / 水素注入 / 酸化物セラミックス / イオンビーム分析法 / 水素同位体置換 / ペロブスカイト結晶 / 原子トンネル効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、偶然見付けたSrCe_<0.95>Yb_<0.05>O_<3-^δ>における速いD-H置換のデータ解析から着想した水素注入酸化物セラミックスの常温空気水蒸気暴露による水素ガス放出の持続性とそれに関与する因子、放出効率に関与する因子、放出効率の向上に関与する因子を明らかにし、水素生成概念に新しい展開をもたらし、環境に対する負荷の少ない水素エネルギー源の開発に資すことである。 前年度は、まず水素ガス放出の機構解明を目指して、水分子が水素注入酸化物セラミックス表面でH^+とOH^-に解離されて、H^+がバルク内に拡散し、注入された水素と分子再結合によりH_2ガスが放出され、さらに注入水素の抜け跡に新たにH^+が捕獲され、水素ガスが持続的に放出されるモデルを提案した。そのモデルは、Ceイオンと置換されたYbイオンおよびその電荷を補償する酸素空格子が表面に存在し、表面上に物理吸着した分極水分子とのクーロン相互作用により、水分子の解離に必要なエネルギー(1.23e V)以上のエネルギーが発生することを提案している。また、水分子の解離により一旦消失したYbイオンによるアクセプターの負電荷は、H^+イオンが内部に拡散すること(正孔の価電子帯への電離)により回復し、酸素空格子のドナーは、酸素原子の放出(伝導帯への電子の熱活性化による電離)により回復し、水素生成反応が持続することを提案している。 このモデルを実証する目的で測定した、Ceイオンの置換量の多いBaCe_<0.80>Y_<0.20>O_<3-^δ>のD-H置換速度は、SrCe_<0.95>Yb_<0.20>O_<3-^δ>のそれより10倍速いことが観測された。この結果は、提案モデルの妥当性を示唆していると結論される。また,He照射されたBaCe_<0.80>Y_<0.20>O_<3-^δ>の、室温におけるH_2OとD_2Oの蒸気暴露に対するHとDの吸収速度の比が8.7であると測定された。この種の酸化物セラミックスにおける水素吸収速度の、このように大きな同位体差は、古典的な原子輸送では説明できず、水素原子特有の原子トンネル効果による原子輸送が生じていると推定される。 従って、常温でもD-H置換、すなわち水素ガス放出が比較的速く生じると考えられると共に、試料表面にYbイオンや酸素空格子が存在する限り、水素ガス放出が持続すると期待される。 これらの研究成果は、平成16年度に採択された新産業創生研究会提案書に有効に反映されている。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)