炭素のミクロ構造解析に基づいたダイオキシンの低温再合成の機構解明と抑制法
Project/Area Number |
14658166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
環境保全
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大塚 康夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20091663)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 炭素構造 / 塩化水素 / 金属触媒 / ダイオキシン / 低温再合成 / 表面構造解析 / 銅触媒 |
Research Abstract |
本研究は、炭素質物質の加熱時に発生するHClとCO・CO_2の温度変化曲線を解析する手法を開発し、ダイオキシン類の直接的な原因物質である塩素および未燃炭素の化学形態を同定・定量することによって、その低温再合成(de novo合成)の機構ならびに排出抑制原理を分子論的に構築することを目的としている。 平成14年度は、主に鉄鉱石の焼結プロセスで用いられる無煙炭やコークスの加熱時に生成するHClをオンラインで定量し、石炭中には種々の無機および有機塩素化合物が存在することを見出すとともに、450-650℃で発生するHClは、一旦脱離したHClの二次的反応、例えば鉱物質や炭素との相互作用で生成する無機や有機の含塩素中間体に基因することが示唆された。そこで平成15年度は、HClと炭素質物質の反応実験を行い、形成される中間体の形態の解明に取組んだところ、350-500℃で反応した後の炭素質物質中にはKClやFeCl_2といった無機塩化物や塩素化したベンゼンに帰属されるCl 2p XPSピークが出現し、後者の強度はカルボキシル基、ラクトン・酸無水物の量が多い炭素質物質ほど強い傾向が認められ、含酸素官能基がダイオキシン類のde novo合成サイトであることが判明した。また、実機の焼結機ウインドボックスから採取したダストのTEM-EELS観察を行ったところ、部分的にK(一部はCu)やClと複合化したアモルファス炭素が存在した。HClは反応初期に炭素活性サイトに化学吸着し、次いでKあるいはその他の金属(Cu)の触媒作用によりCl-C-金属の複合体を形成し、これらが有機塩素に転換すると推論された。それ故、de novo合成によるダイオキシン類生成を制御するためには、活性サイトとHClの反応を抑制、例えば活性サイトへの窒素や硫黄の導入を効率的に行う手法が有効であると考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)