Ntn-hydrolaseファミリーを標的とする新しい阻害剤の基本分子構造の開発-γ-Glutamyltranspeptidaseをテストケースとした阻害剤設計-
Project/Area Number |
14658188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Bioorganic chemistry
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | Ntn-hydrolase / γ-グルタミルトランスペプチダーゼ / ホスホン酸モノフェニルエステル / 機構依存的酵素阻害剤 / ブレンステッドプロット / acceptor site-directed modulator |
Research Abstract |
本研究は、酵素のN末端にある求核性のアミノ酸残基(Ser, ThrおよびCys)を活性中心し、N-terminal nucleophile hydrolase(Ntn-hydrolase)ファミリーと呼ばれる特徴的な一群のペプチド加水分解酵素について、その反応機構および構造上の特徴を足がかりに、本酵素ファミリーに特異的な阻害剤の新しい基本構造を開発することを目的としたものである。そこで、典型的なNtn-hydrolaseの一員である、γ-glutamyltranspeptidase(GGT)を用いて、遷移状態アナログ阻害剤となるホスホン酸誘導体を合成した。すなわち、基質であるグルタミン酸γアミドの加水分解の遷移状態を想定し、γカルボキシ基がホスホン酸基で置換された骨格(2-amino-4-phosphonobutanoic acid)をもとに、リン酸モノフェニルエステル、および、p-位に電子吸引性の置換基X(CF_3,Ac,CN)をもつ一連のリン酸モノ(p-置換フェニル)エステルを合成した。これらの化合物は求電子的なリン原子を有し、酵素自身のもつ触媒作用により、GGTの触媒残基(N末端求核性残基)と反応し、安定な共有結合を形成することによって、GGTを不可逆的に失活させる強い阻害活性が見られた(mechanism-based enzyme inactivation)。酵素の失活の二次反応速度定数(k_<on>)を測定したところ、k_<on>=0.26(X=H),190(CF_3),1344(Ac)および2700(CN)M^<-1>sec^<-1>となり、酵素の失活速度から見積もった阻害剤の強さは、電子吸引性の置換基をもつモノフェニルホスホン酸エステルほど大きいことがわかった。すなわち、酵素と阻害剤との反応速度は、脱離基(p-置換フェノール)の脱離能に大きく依存していた。そこで、酵素の失活速度k_<on>の対数を、脱離基である置換フェノールのpK_aに対してプロットしたところ(Broensted plot)、傾き-2の良好な直線関係が得られた(β_<lg>=-2)。このことから、酵素と阻害剤との反応はlate transition stateの反応であり、置換フェノールの脱離過程が重要であることがわかった。また、阻害剤による失活速度による違いが、γ-グルタミル受容サイトにリガンドが結合することにより引き起こされる酵素の活性化と関連していることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
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