Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
平成14、15年度にわたり約200ケースの福祉相談事例の収集をおこない相談内容を分析した。分析方法は相談内容を7カテゴリ「目指すべき結果(解決ニーズ)」、「問題が発生した環境」、「問題発生の状態・症状」、「最近起こった変化・変更」、「問題の原因」、「問題解決のための対策」、「一見、問題に直接的に関係している様に見えるが原因ではないポイント」に分解し、視点の整理を行った。本手法はIT関係の顧客サポートのためのビジネスモデルであるが、相談受け付け後に組織的アプローチを通して問題解決まで導くプロセスは福祉相談と共通点が多いと判断して採用した。相談プロセスの分析は実際の福祉相談専門職と打ち合わせを行い、相談受付から内容の聞き取り、内容の分析、課題抽出、具体的な助言や支援、モニタリングという一連の流れを明らかにした。なお、福祉相談は制度の紹介などで問題解決するケースと、同一の相談者が繰り返し相談に訪れ、相談そのものが支援となっているケースが多いことがわかった。前述した2つのプロセスをシステム化し、IT技術を用いて福祉相談の受け付け・データ化・検索を可能とした。これにより相談内容に類似した過去の相談事例および援助事例を相談知識(ナレッジ)データベースより導きだせる福祉相談情報ナレッジマネジメントシステムの基本的なシステムの構築を行った。なお、研究を進める中で福祉総合相談援助は単独で機能するものではなく、他の相談機関および社会資源と連携し相談者の問題解決に総合的に取り組まなければ質の高い支援ができないことがわかった。このため福祉総合相談を支援するためのグループウェア活用方法の研究も併せておこなった。福祉相談を受けた相談窓口から関連部門・組織へと相談情報が迅速に伝達され、相談窓口を中心とした連携体制を取りながら総合的援助をおこなうためのコラボレーションシステムのモデルも提案した。