環境負荷の極小化を目的とした電子付着性ガスを微量混合した新絶縁媒体ガスの研究

• Project/Area Number: 14702032
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
• Allocation Type: Single-year Grants
• Research Field: 電力工学・電気機器工学
• Research Institution: Kyushu Institute of Technology
• Principal Investigator: 大塚 信也 九州工業大学, 工学部, 助手 (60315158)
• Project Period (FY): 2002 – 2004
• Project Status: Completed (Fiscal Year 2004)
• Budget Amount: ¥29,380,000 (Direct Cost: ¥22,600,000、Indirect Cost: ¥6,780,000); Fiscal Year 2004: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000); Fiscal Year 2003: ¥18,590,000 (Direct Cost: ¥14,300,000、Indirect Cost: ¥4,290,000); Fiscal Year 2002: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
• Keywords: SF6代替絶縁ガス / ガス絶縁 / 部分放電 / 発光スペクトル / 時間分解測定 / 混合ガス / ストリークイメージ / 地球温暖化 / SF6代替ガス / 絶縁破壊 / 分光 / ストリーク

Research Abstract

SF_6ガスは優れた絶縁・遮断特性を有し、機器のコンパクト化・高信頼性化に大きく貢献するため、高電圧ガス絶縁電力機器の主絶縁媒体として広く導入されている。一方、SF_6ガスは温室効果ガスであるため地球温暖化防止の観点から、大気への漏洩と共に使用量の削減が要請されている。本研究では、これまでの研究で明らかにしてきた電子付着性ガスを微量混合することでSF_6/N_2混合ガスの絶縁破壊電圧が劇的に上昇したメカニズムを明らかにし、環境負荷を極小化するような最適なガス種・混合割合を理論的に導出すること、及び絶縁破壊の前駆現象である部分放電現象を電気・光学的に同期計測することで混合ガス中の放電進展機構や絶縁破壊機構を詳細に検討した。その結果、以下の知見を得ることができた。
(1)nsオーダの時間分解能で、放電の電流パルスと発光強度の時間変化および発光進展のストリークイメージとその測定時間内の積算イメージを同期して同時に測定できる装置を構築した。同装置により、連続する多数の放電パルスの一発一発の電気・光学的情報を取得でき、またその各発光を時間分解分光できるようになったため、放電進展のガス種や放電形態の同定が可能となった。
(2)不平等電界下でのSF_6やPFC混合ガス、あるいはCO_2ガスの破壊機構並びに破壊に至るまでの部分放電現象を(1)の装置を用い詳細に明らかにすることができた。本実験条件では、10%SF_6使用時には30%N_2、_60%CO_2混合時が最適であり(50%SF_6では49%N_2、1%CO_2混合)、そのような3種混合ガスの部分放電時系列特性は、規格化するとSF_6やSF_6/N_2混合ガスともほぼ同様であることがわかった。また、破壊に寄与する部分放電を明らかにした。
(3)CF_4、C_2F_6、C_3F_8、CO_2、N_2、H_2O、O_2、Ar、Xeガスを対象に、遺伝アルゴリズムを用い実効電離係数がゼロとなる電界(臨界電界)が最大となる混合ガス種を検討した結果、2.2%CF_4/73.6%C_3F_8/24.2%N_2混合ガスという理論結果を得た。

Research Products

• [Journal Article] Examination of Partial Discharge Characteristics by Discharge Light Emission in CO_2 and SF_6 Gases (2004)
  • Author(s): K.Kiyama
  • Journal Title: Proc.of 12^<th>Asian Conference on Electrical Discharge Pages: 265-268
• [Journal Article] Search of Optimum Gas Mixture Ration as Gas Insulating Medium by Genetic Algorithm (2004)
  • Author(s): M.Cho
  • Journal Title: IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation Vol.11, No.2 Pages: 334-347
• [Journal Article] 電圧印加方法の違いによるCO_2ガス中の部分放電発生条件に基づく絶縁破壊機構の検討 (2004)
  • Author(s): 木山和治
  • Journal Title: 平成16年度電気関係学会九州支部連合大会 Pages: 94-94
• [Journal Article] 不平等電界下におけるCO_2ガス中絶縁破壊電圧のコンディショニング効果とインパルス比 (2004)
  • Author(s): 大塚信也
  • Journal Title: 平成16年 電気学会電力エネルギー部門大会 論文集
• [Publications] 大塚信也, 高村正樹, 江口和寿, 匹田政幸: "交流および直流電圧印加時のSF6およびCO2を含むSF6混合ガスのPD時系列特性"電気学会論文誌B. Vol.124 No.2. 313-320 (2004)
• [Publications] S.Ohtsuka, K.Eguchi, M.Cho, S.Yuasa, S.Okabe, M.Hikita: "Light emission properties of SF6 gas mixture in impulse breakdown process"13th International Symposium on High Voltage Engineering. (2003)
• [Publications] S.Ohtuka, K.Kiyama, M.Cho, S.Matsumoto, M.Hikita: "Time-developing partial discharge properties leading to sparkover in SF6,N2,CO2 and their gas mixtures under lightning impulse voltage application"10^<th> International symposium on gaseous dielectrics. 11 (2004)
• [Publications] 木山和治, 横山信彦, 大塚信也, 趙孟佑, 松本聡, 匹田政幸: "雷インパルス電圧印加時における高気圧CO_2ガスの絶縁破壊直前の部分放電特性"平成15年電気関係学会九州支部連合大会講演論文集. 03-2P-16 (2003)
• [Publications] 木山和治, 横山信彦, 大塚信也, 趙孟佑, 松本聡, 匹田政幸: "部分放電現象に基づくCO_2ガス中における絶縁破壊特性の検討"放電,誘電・絶縁材料,高電圧合同研究会資料. ED-04-42, DEI-04-49, HV-04-42. 95-100 (2004)
• [Publications] 縄田能久, 原野孝幸, 大塚信也, 趙孟佑, 匹田政: "レーザ生成プラズマによる絶縁ガスの高温絶縁特性に関する研究"放電,誘電・絶縁材料,高電圧合同研究会資料. ED-04-2, DEI-04-9, HV-04-2. 7-12 (2004)
• [Publications] 木山和治, 横山信彦, 大塚信也, 趙孟佑, 松本聡, 匹田政幸: "SF_6混合ガスにおける部分放電発光のスペクトル測定"平成16年電気学会全国大会講演論文集. Vol.6. 215 (2004)
• [Publications] 縄田能久, 原野孝幸, 大塚信也, 趙孟佑, 匹田政幸: "アーク遮断時高温ガスを模擬したレーザ生成プラズマのガス密度測定"平成16年電気学会全国大会講演論文集. Vol.1. 104 (2004)
• [Publications] 原野孝幸, 縄田能久, 大塚信也, 趙孟佑, 匹田政幸: "アーク遮断時高温ガスを模擬したレーザ生成プラズマの温度測定"平成16年電気学会全国大会講演論文集. Vol.1. 105 (2004)
• [Publications] S.Ohtsuka: "PD time sequential and light emission properties as pre-breakdown phenomena of SF6/N2/CO2 gas mixture"IEEE CEIDP 2002, 2002 Annual Report Conference on Electrical Insulation and Dielectric Phenomena. 801-804 (2002)
• [Publications] K.Eguchi: "Partial Discharge Characteristics of CO2 Gas Mixtures including PFC Gas during a Positive Half Cycle of Applied ac Voltage"International Workshop on High Voltage engineering 2003. 95-98 (2003)
• [Publications] 大塚 信也: "SF6/N2/CO2混合ガスの部分放電時系列およびインパルス発光特性"平成14年電気学会 電力・エネルギー部門大会論文集. Vol.B No.435. 382-383 (2002)
• [Publications] 大塚 信也: "雷インパルス電圧印加時の光学測定に基づく混合ガスの部分放電特性"平成14年度電気関係学会九州支部連合会大会講演論文集. 393 (2002)
• [Publications] 江口 和寿: "絶縁破壊に至るまでの交流正サイクルのおけるCO2/C3F8混合ガスの部分放電特性"平成14年度電気関係学会九州支部連合会大会講演論文集. 388 (2002)
• [Publications] 大塚 信也: "交流および直流電圧印加時のSF6およびSF6混合ガスの部分放電時系列特性"電気学会 研究会放電研究会資. 19-24 (2002)
• [Publications] Y.Nawata: "Optical Measurement of the laser-Produced Plasma Simulating High Temperature Gases at Arc Quenching in Gas Circuit Breaker"2002 Joint Conference of ACED & K-J Symposium on ED and HVE. Vol.1. 308-311 (2002)
• [Publications] 江口 和寿: "CO2混合ガスの交流電圧印加時の絶縁破壊までの部分放電特性"平成15年電気学会全国大会講演論文集. Vol.6. 333 (2003)
• [Publications] 高島 智隆: "アーク遮断時SF6高温ガスを模擬したレーザ生成プラズマの分光測定"平成15年電気学会全国大会講演論文集. Vol.1. 99 (2003)
• [Publications] 縄田 能久: "アーク遮断時SF6高温ガスを模擬したレーザプラズマによる電極ギャップ間の破壊電圧低下"平成15年電気学会全国大会講演論文集. Vol.1. 103 (2003)