Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
強ひずみ加工を必要とせずに、炭素鋼の結晶粒組織をナノ結晶化する方法を確立した。低炭素鋼をまずマルテンサイト組織とし、圧下率70%以下の通常の冷間圧延を施した後に、500℃近辺の温間域で焼鈍を行うと、粒径約100nmの等軸ナノ結晶粒フェライト組織が得られる。マルテンサイトは炭素の過飽和固溶体であるため、得られるナノ組織中には微細炭化物が均一に析出している。こうした複相化の結果、単相ナノ結晶粒材料では不可避である塑性不安定の早期発現が抑制され、得られた材料は優れた強度(出発材の約2倍)・低温靭性(液体窒素温度でも脆性破壊しない)とともに、十分な延性をも有することが明らかとなった。ナノ結晶粒組織の形成機構が、grain subdivisionと回復を主体とした過程により支配されることを解明した。Grain subdivisionを支配する最大の因子は、出発組織であるマルテンサイト中の固溶炭素であることを明らかにした。
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