Budget Amount *help |
¥27,820,000 (Direct Cost: ¥21,400,000、Indirect Cost: ¥6,420,000)
Fiscal Year 2004: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2003: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2002: ¥10,660,000 (Direct Cost: ¥8,200,000、Indirect Cost: ¥2,460,000)
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Research Abstract |
我々は,多能性造血幹細胞から成熟血球に至る各分化系列の各分化段階に位置する前駆細胞群を純化し,その分化能力を検討することで,造血細胞の分化機構の解明を行ってきた.マウスにおいて,T, B, NK,樹状細胞などリンパ球系のみに分化可能なリンパ球系共通前駆細胞を同定し,続いて相補的位置関係の骨髄球系にのみ分化可能な骨髄球系共通前駆細胞とその下流の顆粒球・単球系前駆細胞,赤芽球・巨核球系前駆細胞および巨核球前駆細胞の純化に成功した(Nature 2000;Science 2000;Blood 2001;J Immunol 2001;PNAS 2003).またヒト骨髄においてもマウスと同様に骨髄球系共通前駆細胞と顆粒球・単球系および赤芽球・巨核球系前駆細胞を同定した(PNAS2002).G-CSFで動員された末梢血中の造血か細胞・前駆細胞の解析過程において,G-CSF受容体を有さないリンパ球系前駆細胞も末梢に動員されていることを見出し,G-CSFが幹細胞・前駆細胞に直接的に作用し,末梢に動員しているのではないことを明らかにした(投稿中).このことはリンパ球以外にもG-CSF受容体を有さない非造血系細胞集団,例えば血管内皮,心筋,肝消化管上皮などに分化可能な間葉系幹細胞・成体幹細胞など再生医療に応用可能な細胞群も骨髄から末梢へ動員される可能性があり,再生医療の幹細胞源としての末梢血幹細胞の臨床拡大を目指し検討した。 また各分化段階において,各々の系列の前駆細胞が純化可能となったことより,これら前駆細胞の分化能力や白血化能力などについて詳細な検討を進めた。我々はマウスリンパ球系共通前駆細胞に強制的にGM-CSF受容体を発現させたところ,通常はリンパ球にのみ分化可能であるリンパ球系共通前駆細胞が顆粒球・単球系に分化し得ることを見出した(JEM2003).前駆細胞は強制的に発現された異所性のサイトカイン受容体による刺激や転写因子の発現の変化により,一度失った他の系統への分化能力を再獲得する能力が保持されていることを示している.実際にマウス骨髄球系前駆細胞に慢性骨髄性白血病発症の責任キメラ遺伝子bcr/ab1とアポプトーシス抑制遺伝子を共発現させることで,前駆細胞の段階で高率に白血病発症し得ることを明らかにした(PNAS2003).このことは,少なくとも一部の白血病は,造血前駆細胞群の段階で発症しており,白血病特有の複雑な表現型は,発生母地となった前駆細胞の分化能力の可塑性を反映している可能性を示している.今後は,白血病幹細胞を純化し,白血病幹細胞自身を標的としたより効率的な抗白血病治療の開発を課題としたい.
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