Budget Amount *help |
¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
人間は知的好奇心にあふれた存在であり,興味ある事物には自分から接近して調べてみようとする.このような知的好奇心は,生涯にわたって人間の精神発達と環境への適応を支えている.しかし,知的好奇心を支えている脳の働きについてはあまり知られていない.本研究では,自分から能動的に情報を取り込むという過程に注目し,事象関連電位を用いた実証的な検討を行った.本年度は,視覚刺激を用いて,新しい実験を行った.見慣れない視覚対象に出会うと「何だろう?」という定位反応が生じる.その後,視覚探索が開始され,それは対象が認識できるまで続く.このような定位-探索-認識という過程が,脳の電気活動にどのように反映されるかを事象関連電位を用いて検討した.健常大学生12名を対象に,画像(アルファベット文字)のコントラストを低レベルから中程度のレベルまで6段階に変化させたものを系列的に呈示し,認識できた時点で口頭で答えてもらった.対象を同定できた試行の前後における事象関連電位の変化を検討したところ,認識の直前までは刺激呈示後300-500msに前頭部優位の陰性電位が生じるが,初めて認識できた試行ではこのような陰性電位は生じず,400ms以降に中心-頭頂部優位の大きな陽性電位が生じることが分かった.また,どちらの電位も,認識の努力を必要としない課題では出現しなかった.先行知見とあわせて,前者の陰性電位は対象を認識するための記憶探索過程に,後者の陽性電位はそのような努力の解消・終結過程に関連していると解釈した.また,この実験とは別に,3年間の研究を総括し,その中で培った統計分析のノウハウを「心理生理学データの分散分析」として学会誌に発表した.
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