Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,短時間のうちに連続して2つの課題を行うとき,2つ目の課題がうまく遂行できず,見落としたりするというヒューマンエラーの原因を探ることであった.具体的には,(1)1つ目の課題を行っているときに注意はどこに向けられているか,(2)2つの課題の成績に影響する環境変数(妨害刺激の有無,(3)2つの課題を行うときの空間的特性,(4)課題を行うときの心的構えの影響という4つの観点で目的を設定した.これらの4つの観点に対応した実験は全て終了し,次のような成果が得られた. 1.高速逐次視覚呈示法を利用し,短時間内で連続して2つの作業を行うときの認知負荷の評価方法を開発した.とくに,標的間の空間的位置関係は大きな作業負荷となることを見いだした.昨年度の成果である,平均作業成績を被験者間で統制して比較可能な動的ノイズ操作法を利用して,上述の(2),(3)を調べるための実験を行った.短時間内に連続して2つの作業を行う場合,同じ位置で行う場合のほうが,位置を移動させる場合に比べて,作業者にとって負荷が少ないことが分かった.このJapanese Psychological Research誌に発表した. 2.連続して2つの課題を行うとき,注意は少なくとも300-400ms程度,第1標的が呈示された場所にとどまっていることが分かった.これは,線運動錯視という錯覚を用いることで明らかになった.この成果はPsychological Research誌に発表した. 3.標的に対するマスキング特性を検討した実験では,従来報告されていた注意の瞬き現象は,第1標的の困難度による成分と,課題切り替えによる成分があることが分かった.従来の研究では,これらの2つの成分に加え,視覚マスキングの効果が混同されており,本研究によって初めてマスキングの成分を除いた課題切り替え成分による見落とし効果が明らかになった.この成果はPerceptoin & Psychophysics誌に発表した.この研究では,見落としに及ぼす学習の効果を検討するための実験をさらに行っており,過学習された視覚パターンは見落としを起こしにくくする性質があることがわかった.
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