多元的福祉サービス供給体制における運営システムの研究
Project/Area Number |
14710151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
社会学(含社会福祉関係)
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Research Institution | Nihon Fukushi University (2003-2004) Chubu Gakuin University (2002) |
Principal Investigator |
小松 理佐子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (40301618)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 多元化 / 地域包括ケアシステム / 基礎自治体 / 協働 / 運営システム / 地域トータルケアシステム / 新たな公共 / 介護保険事業 / 介護保険 / 契約 / 社会福祉協議会 / 公私関係 / 公的責任 / 市町村 |
Research Abstract |
本研究は、3年間にわたり社会福祉サービス提供組織の多元化を前提とした運営システムのあり方を、とりわけ基礎自治体である市町村を中心に検討するものである。その最終年度にあたる今年度は、イギリスにおける多元化の実態調査を実施し、日本における運営システムとの比較を行うことにより、システムモデルの試案を構築することを試みた。イギリスのコミュニティケア改革を通して推進されている多元化のシステムは、とりわけNPOを主とした非営利組織の役割を重視したものであり、民間営利組織の参入の促進を期待する日本の多元化とは性格が異なることが明らかになった。また、イギリスにおいてはサービスを提供する組織と、行政との対等な関係がcompactによって維持するよう試みられており、その点も日本と異なる点であるといえる。一方、日本においては、山形県最上町、愛知県名古屋市、長野県茅野市について、これまでの3年間にわたり継続的な実態調査を実施してきた。なかでも本年度は、社会福祉協議会に焦点をあてた研究を行った。 以上の研究を踏まえて、本研究で導き出された結論を要約すると次のようになる。第一に、協働とネットワークの体制の構築が重要な課題であるという点である。福祉サービス提供組織の多元化の政策的意図は、多様な提供主体の参入により競争原理を導入することにあった。しかしながら、生活保障システムの一環としての福祉サービスの運営どいう視点から現状をみると、問題は個々の提供組織間の連携や調整がなされておらず、結果として利用者にとって必要なサービスが提供されていないということにあるといえる。そのことからすれば、今後は、組織間の競争の激化よりも、提供主体間のつながりによって利用者に必要な供給がなされる方向での改善の方が重要であるといえる。第二に、社会福祉協議会がその他のNPOとは異なる固有の役割を果たすことにより、日本の実態に適合した運営システムの具現化が可能となるという点である。社会福祉協議会は、民間非営利組織でありながら、NPO法人とはやや異なる性格を持ち合わせており、それが日本のシステムの特質であるといえる。したがって、社会福祉協議会の役割を検討することが、日本独自の運営システムを構築することにつながる。社会福祉協議会の役割は、NPO団体の経営のしくみでは対応することが困難となる、非採算部門を担うことにあるといえる。そのためには、そのような社会福祉協議会の性格を強調した役割分担とともに、組織経営の公的支援が必要であるといえる。第三に、これらを踏まえて、市町村を単位とした地域包括ケアシステムの構想を検討することが重要である。地域包括ケアシステムの構想(試案)については、2005年3月に発表した図書(『地域福祉論』)の中に発表した。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)