近代日本の初等数学教育における民俗文化と学校文化の相克と連関
Project/Area Number |
14710198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Meiji University (2004) Musashi Institute of Technology (2002-2003) |
Principal Investigator |
佐藤 英二 明治大学, 文学部, 講師 (20339534)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 小学校 / 算術 / 教科書 / 子ども / 生活 / 算術教育 / 文体 / 各科教授法 |
Research Abstract |
国定算術教科書における子どもの生活場面に関する記述を検討した昨年度に引き続き、今年度は、教科書国定化以前において、算術教科書が子どもをどのように描いていたのかを検討した。その結果、次の二点が明らかとなった。 第一に、ペスタロッチ主義の教科書の直訳に近い『小学算術書』(文部省)を除き、学制期の大半の教科書には、子どもの生活場面が見られない。当時において、労働を中心とする大人の社会生活で紙面を構成する『塵却記』の文化が、いまだ持続していた。同じ特徴は、「小学校教則綱領」(1881年)のもとで使用された『数学三千題』などの教科書にも引き続き認められた。 しかし第二に、検定期に入ると、わずかながらも子どもの生活場面を取り入れた教科書が現れる。たとえば、「小学校教則大綱」(1891年)に準拠した代表的教科書である『尋常小学筆算教科書』(竹貫登代多)には、子どもに蜜柑や柿、半紙を配る問題、あるいは兄弟の衣服を作るのに必要な布の長さを求める問題が出されている。子どもの生活場面の導入はその後さらに進んだ。第三次小学校令のもとで出版された『尋常算術教科書』(金港堂)になると、子どもの日常生活の一部になり始めていた学校での授業時間数が問題として取り上げられるとともに、子どもは教師の思わぬところでつまずくという注意が教師用書に掲げられるに至った。これは、大人に対して劣った存在への視線ではあるが、子どもの数学的世界の独自性が意識化されたことを意味している。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)