近代日本における帝国意識の形成過程と植民地台湾との人的移動の関連をめぐる研究
Project/Area Number |
14710231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Nanzan University (2004) Aichi University of Education (2002-2003) |
Principal Investigator |
松田 京子 南山大学, 人文学部, 助教授 (20283707)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 帝国意識 / 植民地 / 台湾原住民 / 原始芸術 / ツーリズム / 台湾博覧会 / 「内地」観光 / 1930年代 / 日清戦争 / 台湾領有戦争 / 国籍 / 理藩五ヶ年計画 / 法学 / 日清講和条約 |
Research Abstract |
植民地台湾との人的移動との関連で、近代日本における帝国意識の変遷を分析するという課題を果たすため、本年度は日本「内地」の台湾像のあり方に大きな影響を与えた台湾原住民をめぐる諸問題に焦点を絞り、上記の課題を考察した。具体的にはまず1930年代に集中的に行われた台湾原住民青年層の「内地」観光旅行について、同時期の台湾総督府による原住民統治政策との関連で、その特徴を考察した。次に台湾でのツーリズムの展開の起爆剤となった1935年開催の「台湾博覧会」に焦点をあて、観光客誘致の一つの「目玉」として、この時期に台湾原住民の「文化」が積極的に称揚されてくる過程を分析した。 そこから(1)1930年代の台湾原住民統治政策は、原住民の日常生活の細部におよぶ「改変」を求めたこと。(2)このような統治実践の中で、台湾原住民の「内地」観光旅行の性質は、「文明化」の度合いや軍事力の誇示によって抵抗の意識を削ぐという当初の内容・目的から、「内地」の模範農村の視察など、帰台後にそれぞれの集落で取り入れ可能な事物の見学を通じて、彼らの日常生活の「改善」を促すという内容・目的に変化したこと。(3)台湾原住民の生活習慣の「改変」が、漸進的に促される状況下で、「改善すべき弊習」と「守るべき文化」の線引きが行われ、後者の一部は「原始芸術」という形で称揚されていくこと。(4)「原始芸術」とされたもの、特に「歌」や「踊り」は、台湾でのツーリズムの展開の中で、「観光資源」として積極的に利用されていくこと。(5)このような台湾原住民の「文化」をめぐる動向は、満州事変以降の日本「帝国」の更なる膨張の中で、新たな「異民族」支配が緊急の課題となった1930年代の帝国意識のあり方と密接に関連すること。以上の5点を、国内・海外調査によって収集した資料を分析することで、具体的に解明した。これらの研究成果は、日本史研究会・2004年度大会で発表し、論文としてまとめた。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)