Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、ドイツの社会行政手続法理を分析することにより、社会保障行政という特殊性に応じた行政手続とはいかなるものか、受給権者にはいかなる手続的権利が保障されなければならないかという課題に取り組むため、その法的整備が進んでおり、裁判例の蓄積も豊富なドイツの社会行政手続法を研究対象として、ドイツの社会行政手続の制度がどのようにして形成され展開されてきたのか、それはどのような法構造を有しているのか、それはどのように運用されてきており、どのような制度上または運用上の問題が存在するかについて、一般行政手続法理と比較しつつ、社会行政手続法理の特質を明らかにすることを課題としている。本年度は3年間の研究の1年目であるため、まずドイツの社会行政手続法に関する文献資料の収集およびそれらの整理を行うことが主要な作業となった。日本にいては手に入れることが困難である文献が多数あるため、ドイツ社会行政手続法に関連するまたはドイツ一般行政手続法に関連するドイツ語文献の収集については、日本におけるのみならず、ドイツの研究機関等においてもこれを行った。その過程において、本研究と類似テーマを扱う文献を見つけることができ、今後の研究の手がかりをえることができた。また所属大学の図書館やインターネットなどにおいて広い範囲で関連する文献資料収集を行った。本年度は文献資料収集作業およびこのようにして収集した文献資料を読了し学説・裁判例を整理する作業に費すこととなった。いまだ作業は終えてないが、その過程で、「聴聞」に関していえば、一般行政手続法と異なる社会保障行政に特有の議論が行われてきており、それは社会保障の権利の問題と密接にかかわっていることが明らかになってきた。それはとりわけ公的扶助の分野においてみられる。来年度も引き続き文献資料の精査と学説・裁判例の整理という作業を進めていく。