Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度は、昨年度に行った労務の提供と組合課税方式の関係につき、次のような若干の研究予定修正の必要があったため、特にアメリカ・パートナーシップ税制の状況を踏まえて再検討を行った。アメリカ・パートナーシップ課税における労務の提供の出資時非課税を検討する以前に、労務提供時に現行資本勘定システムを付編めた上でいかなる課税方式ないし課税繰延べ方式があるかを検討する必要があり、私見では以下の三つの方式を検討した。(1)労務提供時に労務を個々に資本勘定に表示し、かつ提供者への課税を行う方式。労務提供者に対する課税方式としては理想的であるが、実現主義の観点(労務の時価評価と納税資金)からは問題が大きい。(2)労務提供時に労務を個々に資本勘定に表示しつつ、提供者への課税を行わない方式。出資資産のビルトインゲイン配賦と同じ方式を用いるものであり、時価評価と配賦の難しさの二点がネックである。(3)労務提供時に労務を資本勘定に表示せず、出資時非課税とする現行方式。上記諸点を勘案すると、やはり現行方式をとらざるを得ないのではないかと思われる(おそらく必然的に資産出資時課税繰り延べも導かれる)。このような私見は、経済団体等における研究報告や、民間シンクタンク、新聞社等による聞き取り調査においても披露されている。なお、上記研究成果は、岡山大学法学会雑誌54巻1号に掲載予定である。