Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本年度の研究実績 1.資料の調査・収集 昨年度に引続き,必要とされる歴史資料の所在調査を行い,電子式コピー,マイクロフィルム撮影など各種の方法で資料を収集した。補助金の総額が昨年度比43%であったため・調査活動の範囲はやや限定されたが,国立公文書館であらたに公開されている旧運輸省文書など,質的にみればきわめて有用な資料に触れ,収集することができた。また,佐野鉄道,五日市鉄道など,研究課題に直接関係する企業の営業報告書を,古書市場を通じて入手する機会を得たことは,大変幸運であった。 2.資料分析と研究論文の執筆・発表 原料・製品ともに重量商品であるセメント業を事例とした物流問題の歴史的解明が研究課題であるが,昨年度の分析(明治期)を継承する形で,今年度は大正〜昭和初期の実態解明を行った。明治期にみられたようなセメント製造部門と原料調達(採掘・輸送)部門との分業・連繋が,第一次大戦期に生じたセメント市場拡大を契機に大きく変化し,大企業による中小企業の系列化に類似した,階層性をはらんだ後方統合が進行していく過程を,実証的にかなりの程度裏付けることができた(現在,学会誌に投稿準備中)。 また,7〜8月には,昨年度の収集資料を主に用いた論文2本をそれぞれ公刊することができた。その他,関連する論文1本も公刊された。さらに11月には,新たな書き下ろし部分を加えて,近代日本の産業発展における輸送の役割と実態を体系的にまとめ上げた単著書の原稿を完成させ,出版助成の申請を行った。年度末には,各方面より収集した資料の製本やマイクロ複製など,この2年間のアフター・ケアともいうべき作業にも取り組んだ。
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