Project/Area Number |
14730086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Commerce
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
和田 正春 東北学院大学, 経済学部, 助教授 (70257278)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | サービス / クオリティ / 生産性・プロダクティビティ / サービス改善 / リレーションシップ / サービス・クオリティ / 顧客満足 / ヒューマン・サービス |
Research Abstract |
本研究では、人的な要素が強く関与するサービス領域において、クオリティや生産性に関する問題を解決するための具体的な方策について、実際に企業に長期間参画するというアプローチにより、明らかにすることを目指したものである。福祉機器製造販売企業を中心に、百貨店や証券会社、看護業務などを対象とした。調査対象企業の社内問題で調査が遅れ、成果のまとめが完了していないが、その問題の発生プロセスからもこのテーマに関わる課題が、マネジメント全体の複合的な背景から生じてくることが明らかになった。 ヒューマン・サービスにおいては、その重要性や可能性が指摘されながら十分な検討がなされてこなかった。特に中小企業においては、人事上の問題(離職率の高さ、トレーニングの不備等)の陰に隠れて、クオリティや生産性の低さが当然視されることすらあった。しかしアンケートや参与観察の結果から、実際には現場従業員の労働意欲や問題意識は高いことが多く、それが成果に結びつかない理由は、既存業務遂行の圧力と具体的なサービス改善のためのトレーニングや方向付けがなされていないことにあると考えられる。特に中核的な役割を担うべきミドル・マネジャークラスがサービス重視の方向性を取り得ない結果として、理念的なサービス志向が具体的な活動として現出してこないというケースが多く見られる。例えば顧客アンケートから具体的な改善方向が示され、また改善のための活動が見えていたとしても、それを実践に移すことについてはミドルクラスに逡巡があり、組織的な活動に結びついていかないことが多い。 当初の研究計画としては、サービス改善に関わる社内の意志決定のプロセスやリーダーシップの影響、実施に伴う問題などを調査していく予定であったが、サービス改善提案が、組織内で停滞し、骨抜きにされていくプロセスを観察出来た結果として、サービス改善が多くの企業において失敗する原因を究明し、解決していくことについての可能性を捉えることが出来た。本調査での最大の成果はこの点をリアルに捉えることが出来たことである。 クオリティや生産性についての目標は、中小企業の方が顧客との距離が近い分容易に設定される。具体的な方向性を決定していくプロセスも、具体的に検討は進む。しかし実行に移す段になると、組織的な抵抗は生じやすい。大企業の場合、目標や方向性が決まらず進まないケースが多い。大きな組織を動かすことが難しく、手続きも煩雑で、サービス改善が「方針」に終わりやすい。小集団での活動を活性化し、それをより大きな組織の枠組みの中で活性化していく取り組みをしている百貨店(伊勢丹)のケースは、大企業のサービス改善の参考になるであろう。プロジェクト・チームや社内ベンチャーでのサービス改善を進めようという機運が大企業には多くみられるが、多くの日本企業にとってはサービス改善を進めるための活路といえる。その一方、組織的なフォローアップ体制をどのように構築していくかというところは、さらに具体的な検討が必要といえる。今後そうした研究を継続していきたいと考える。
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