Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
平成15年度は,平成14年度に行った理論的研究のまとめと実証研究を行った.理論的研究の成果は,前年に発表した2本の論文に加えて,「株式持ち合い解消のシグナリング・モデル」という形で現代ファイナンスに受理されている(平成16年3月に掲載される予定).この論文では,企業のエクイティ・ストラテジーの1つである株式持ち合いの解消が,企業の長期的,短期的な株式パフォーマンスに与える影響を理論的に分析した.事業のリストラクチャリングを行うために,株式持ち合い解消というエクイティ・ストラテジーを選択した企業は,短期的には株価の下落に見舞われる.業績が芳しくない企業は,事業のリストラクチャリングに必要な資金を調達する目的で,株式持ち合いを解消する.そのため,持ち合い解消は企業の業績が悪化したシグナルと受け取られ,短期的には株価が下落する.長期的には,リストラクチャリングが企業の業績を回復させるので,持ち合い解消は株価にとって好ましいといえる. 実証的研究では,企業のエクイティ・ストラテジーの1つである自社株買いが,企業の株価に与える影響について分析した.その結果は,Hatakeda氏との共同論文としてPacific-Basin Finance Journalに掲載される予定である.この研究では,企業が自社株買いを発表した後,株価が上昇することを明らかにした.また,企業が自社株買いを行うか否かの基準として,事前の株価動向が関係する可能性も示した. 長期的パフォーマンスを実証する方法論についての研究も並行して行った.アメリカの先行研究ではブートストラップ法を用いることが多い.長期パフォーマンスの分布が大きな歪度をもち,通常のt検定には適さないというのがその理由である.筆者と神戸大学院生の山崎尚志氏が行った研究では,わが国株価の長期パフォーマンスの分布は,歪度が著しく小さいことが発見された.この研究成果は,現在投稿準備中である.
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