Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
昨年度は複素時間解析により平面渦層に現れる渦巻き解の意味づけを行ったが,今年度は球面渦層について同様の解析を行い,特異点解析によって得られた結果が系の領域の性質によらないものであることを確かめた。これをもって,本研究課題における当初の目的の大部分が達成されたと思われるが,年度の後半はこの解析からさらに一歩前進させて,渦層に現れる渦巻き解の長時間発展について取り組んだ。具体的には上の複素時間特異解析で扱った極に渦を持つ球面渦層の問題を考えた。その数値計算によれば曲率特異性が生成した後,複数の渦巻き構造が出現し,それらが同一緯線上に等間隔に並んだ配置をとることが示される。我々はその渦巻き構造の長時間発展を解析するため,各渦巻きに含まれる循環を一点渦糸に集中させたモデル(N点渦糸環モデル)を考え,極の渦の大きさの変更に伴って時間発展がどのように変遷するかを,力学系理論の応用により研究した。 そこで得られた結果は以下の通りである。まずN点渦糸環の線形安定性解析を行い,線形化問題の固有値のみならず固有ベクトルもすべて陽的に与えることに成功した。この解析に基づいて渦糸の数が偶数の場合について,系を二次元に縮約する方法を提案し,その縮約モデルの厳密な解析から,不安定化した偶数渦糸環には極渦の強さに応じて4種類の周期軌道が存在すること,さらにその安定性は線形安定性解析で得られた二番目に大きい固有値の安定性によって決定されることを示した。本結果はPhysica Dに掲載済である。現在奇数個の場合の不安定渦糸環の長時間発展の研究にも成果が得られており,投稿準備中である。 また,国際研究集会での講演を5回行うことができ,当該研究課題の進展に大きな寄与があった。
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