Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
Einstein重力と電磁場及び質量を伴うディラトン場が結合した系におけるブラックホール解について考察した。ディラトン場が質量を持たない場合についてはGibbonsとMaeda及び独立にGarfinkle, Horowitz, Stromingerによって解析的に解が求められており、その性質はよくわかっている。ディラトン場のないEinstein-Maxwell系におけるライシュナーブラックホールでその蒸発過程を考えた場合、もし電荷がその際に失われる事がないとすると、最終的にはホーキング温度がOに近づき、蒸発は進行しなくなると考えられる。ところがディラトンを入れるとその結合定数に応じて振る舞いが定性的に変化し、ストリング理論から予想される結合定数を取った時には、ホライズン半径がOの極限でホーキング温度は有限に留まり、この結合定数を超えた場合には同じ極限で温度は発散する。そのため、ブラックホール蒸発の最終過程で裸の特異点があらわれてしまう。 ところが、ディラトン場は現実には質量を伴うと考えられ、この場合には温度の振る舞い等が変化すると予想される。我々は以前の研究でディラトンの結合定数がストリング理論で予想される値でのみ計算したが、今回は様々な結合定数で計算した。その結果、蒸発の最終過程での温度の振る舞いは、強いエネルギー条件を守る場合には、ディラトンが質量を持たない場合と定性的に全く同様である事がわかった。すなわち、ホーキング温度が有限で留まるか発散するかの境界は、ストリング理論から予想される結合定数を取った時にある。これは数値的に見出されたものであるが、現在、これの証明に取り組んでいる。
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