複合的機能を持つ有機・無機複合体の開発と新規物性探索
Project/Area Number |
14740209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前里 光彦 京都大学, 理学研究科, 助手 (60324604)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 有機・無機複合体 / 電荷移動錯体 / 磁性 / 伝導性 / 圧力 / 一軸性ひずみ |
Research Abstract |
新規錯体κ-(BEDT-TTF)_4[M(CN)_6][N(C_2H_5)-4]・2H_2O (M=Co^<III>,Fe^<III>)の結晶構造・電子物性を詳しく検討し、特異な電荷整列現象を見出した(フランスのウアハブ教授との共同研究)。室温では電荷均一状態のMott絶縁体であるが、約280K以下で徐々に電荷秩序の揺らぎが成長し、約150K以下では長距離の電荷秩序状態になる事が確認された。低温電荷秩序相はET^<+1>ダイマーとET^0ダイマーからなる事が低温X線構造解析およびラマン散乱の測定から明らかになった。また、低温構造解析の結果から、ドナーとアニオン間の静電相互作用の重要性が示唆され、静水圧および一軸性ひずみの予備的な実験からもそれを支持する結果を得た。さらに、試料空間の空気を減圧・脱氣する事により、電荷秩序の揺らぎが抑制される事が分かった。これは、錯体中の水分子が脱離する事によって分子間相互作用に変化が生じたためと考えられる。 TTF系ドナー分子(BEDT-TTFやBEDO-TTFなど)と2種類の遷移金属[M,M']を含むジチオオギザレートMM'(dto)_3との錯体の単結晶を得るために、複分解法以外の電解酸化法や拡散法などを試みたが、物性測定が出来るような単結晶を得るまでには至らなかった。 ハロゲン置換ドナー分子と遷移金属イオンを含む新規π-d系錯体(DIETSe)_2MCl_4 (M=Ga,Fe)の圧力下での輸送特性を調べた(理研の今久保博士との共同研究)。常圧下では両塩ともに約12K以下で半導体的な振る舞いを示すが、静水圧下の振る舞いは全く異なった。Ga塩では半導体的な振る舞いが圧力によって単調に抑制されるのに対し、Fe塩の場合には、圧力下において約2Kで抵抗の温度変化に異常な振る舞いが観測された。さらに、低温磁気抵抗にも約5T付近で抵抗の急激な変化が観測された。Fe塩の特異な現象は、磁性イオンの局在スピンとπ電子との相互作用に起因すると考えられる。磁性と伝導性の相関を調べるために、さらに詳細な輸送特性や磁気測定を検討中である。 また、分子変形を伴う劇的な金属-絶縁体転移を示す物質(EDO-TTF)_2PF_6について、一軸性歪み下における輸送特性を調べた。伝導面内方向への歪みでは相転移温度はあまり変化しないが、伝導面間方向への歪みによって相転移温度が著しく上昇する事が分かった。この事から相転移機構におけるドナーとアニオン間の静電相互作用の重要性が示唆された。
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Report
(3 results)
Research Products
(10 results)