Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
熱帯海域で遍在する小規模積雲群の動態を解明するため,西太平洋赤道海域で実施された船上での現地観測で取得された気象データや衛星雲データを用いて実現象の解析を行い,雲解像数値モデルを用いてそれら積雲群の動態を数値シミュレーション・数値実験によって調べた.昨年度行った研究より,熱帯の積雲の発達においては対流圏中・上層での大気の湿り具合が大きく影響していることがわかってきたので,その結果を踏まえて,本年度においては観測データの解析および数値実験の結果の解析をさらに詳細に進めた.本年度は数値実験を中心に実施し,必要に応じて船上観測によるデータを解析した.数値実験においては,対流圏での相対湿度の鉛直プロファイルや対流圏中層での安定度の強さを様々に変化させ,これらのパラメータの多彩な組み合わせにより,背の低い積雲・雄大積雲・積乱雲の3つの形態がどのような条件のもとで最も発達しやすくなるかという点に注目した.数値実験の結果,対流圏中層や上層の相対湿度が非常に低くなる(すなわち乾燥状態)場合には積雲の発達は背の低い積雲に限られ,雄大積雲や積乱雲の発達は極度に抑制されることがわかった.また,中層の安定度を通常の状態から大きく安定側に変化させた場合においても,雄大積雲や積乱雲の発達が抑制された.中・上層の相対湿度の効果と中層の安定度の効果を比べると,積雲の発達は相対湿度のプロファイルの方に非常に強く依存していることが示された.本研究で得られた知見は,気象予報や気候変動の予測をするための数値モデルにおける積雲の取り扱いの問題(積雲パラメタリゼーション)に対して重要な示唆を与えるものである。以上の結果は,国内外の学会・研究集会等で成果の発表を行った.
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