ガスハイドレートの分解イベントに起因する冷湧水プロセスの解明
Project/Area Number |
14740296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Geology
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
町山 栄章 独立行政法人海洋研究開発機構, 深海研究部, 研究員 (00344284)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 黒島海丘 / 冷湧水炭酸塩岩 / ガスハイドレート / 化学合成生物群集 / ピストンコア / 熱流量 / 琉球弧 / 南西諸島 / 長期計測 |
Research Abstract |
平成15年8月にピストンコア採取・熱流量調査を黒島海丘周辺海域にて実施した。その結果、冷湧水域から6本、海盆から2本の主に泥からなるコアを、頂部縁辺域から炭酸塩堆積物からなる2本のコアをそれぞれ採取した。また熱流量測定の結果、海盆で良質なデータが得られた反面、頂部における熱構造の把握が困難である事が判明した。 本研究によって得られた新知見等の成果は以下の点である。 1.間隙水組成から、塩分濃度の低い冷湧水が湧出しているが、硫酸イオン濃度は深度に伴い一様には低下せずに変動が認められる。メタンガス噴出域ではないシロウリガイを伴う冷湧水域でのSMI (sulfate-methane interface)の深度は5mよりさらに深い事が示唆され、当該域のメタンフラックスが予想に反し小さい事が明らかとなった。また、間隙水の酸素同位体比は2‰SMOWを超える事はなく、現在の冷湧水にガスハイドレートの分解水の影響はないと推定される。 2.冷湧水炭酸塩岩中の貝殻の放射性炭素年代からは1万年前以降の年代が、また海底表層・コア試料中のものは1400〜2600年前を示す事から、完新世以降に海底下(SMI以浅)と表層で活発な冷湧水活動により複数時期にわたり形成されたと考えられる。またコア試料から、島尻層群の上位の堆積体(20万年前以降)中に胚胎していた可能性が示唆された。 3.当該域の地震波探査データの検討から、海底地形(段差・割目・凹地)は東西方向の断層群に規定されており、現在に至る冷湧水現象の分布と調和的である事が明らかとなった。またメタンガス噴出域直下には、ガスを含む流体が胚胎している事が判明した。 以上から、黒島海丘の基盤上昇により生じた断層群に沿って冷湧水が湧出している事が明らかとなり、その過程でガスハイドレートが不安定化・分解して大規模な炭酸塩岩が形成されたシナリオが想定される。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)