森林群集内で同調するマスティングの要因とその生態的意義
Project/Area Number |
14740429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生態
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
柴田 銃江 独立行政法人森林総合研究所, 森林植生研究領域, 主任研究員 (10343807)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | マスティング / 豊凶 / 捕食者飽食 / 小川群落保護林 / 樹木の繁殖 / 種子生産 / 落葉広葉樹林 |
Research Abstract |
この研究は、冷温帯林での群集レベルのマスティングの実態とその生態的意義を明らかにすることを目的とする。今回は、北茨城の長期森林動態試験地における様々な樹種の種子生産と主な種子消費者であるネズミ類の種子利用年変動の解析データをもとに、森林群集内におけるネズミの餌としての種子量と質の変動とネズミの個体数変動の相互関係を考えた。 1998年の秋に、小川試験地内にネズミ類用の埋設式巣箱を設置し、以来春と秋に巣箱内の餌の残骸を回収し、それらからネズミ類が秋〜冬期間に餌として利用した種子類の消費重量を5年間測定した。また、標識再捕獲法を用いたワナ調査により、同期間でのアカネズミとヒメネズミの生息密度を推定した。一方、実生発生数の測定値より、樹種毎各毎の種子生産数を推定した一方、種子バイオマスとして主要な種については、種子の栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物等)と熱量を測定し、それぞれの種子の餌としての質を評価した。 その結果、この森林では、豊凶性の少ないコナラ類種子が、秋〜冬期間のネズミ類の主要な餌として毎年利用されているが、群集全体で様々な樹種が豊作の時にはそれらも利用することがわかった。特に、ブナ類の豊作年には、それらの種子消費が相対的に高い割合を占めた一方、ネズミ類の生息密度も4〜10倍に増加し、幼個体も捕獲された。ブナ類は種子類の中でもタンパク質、脂質が豊富でタンニン量が少ない良質な餌であったため、ネズミ類の繁殖につながったことが示唆される。 群集全体の種子豊凶に対応して実生発生率が高くなる傾向は多くの樹種で検出できなかったが、それは、捕食者であるネズミ類が、豊作年には質量ともに価値の高いブナ種子を利用して、短期間で個体数を増やしたため、結果的に飽食作用はおこらず、被食を逃れる種子が少なくなってしまったからではないかと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)