Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究は,レーザーのような「コヒーレント光放出素子」を,無機化合物半導体ではなく,有機半導体を材料として用いて実現することを目標とする。具体的には,超伝導状態の有機単結晶薄膜内におけるコヒーレントな電子/正孔各クーパー対の再結合による自然放射,「超放射」を利用してコヒーレント光放出を行う,というものである。 本研究では有機薄膜への電子・ホールの両電荷を注入し,超伝導状態で再結合させることによって超放射を実現することを目指しているが,そのための電荷注入方法として有機電界効果トランジスタ(FET)を形成する必要がある。本年度はこの有機FETの低電圧動作,及び高効率な電荷注入を実現することを目指し,前年度から試みている陽極酸化法による五酸化タンタルゲート絶縁膜作製法の改良を行った。 実験の結果,Ta板を濃硫酸・フッ酸混液中で電解研磨することにより表面を数nm以下のレベルで平坦化することに成功した。そしてその表面を陽極酸化することにより,昨年度よりもはるかに高い耐電圧性を有する酸化膜の形成を実現した。その結果,五酸化タンタルゲート酸化膜上に形成したペンタセンFETは,導電性Si/SiO_2基板上に形成したものと同程度までゲート電圧を加えることが可能であった。これにより,五酸化タンタルが二酸化珪素より誘電率が高い分(SiO_2:ε=4,Ta_2O_5:ε=27),これまでより数倍の星の電荷を有機薄膜に注入することに成功している。このように多量の電荷を有機薄膜中に注入することにより,化学ドープでは得られなかった物性変化を,FET電荷注入によって発現できることが期待される。
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