Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Research Abstract |
本研究では直径150nm程度の超多層CNTである気相成長炭素繊維(VGCF)を高流動ポリスチレンに混合した樹脂基材料を射出成形する際に,金型をスライドさせせん断力を与えることにより繊維を成形品表面に垂直に突出させることを目的とする.フィラーとして超多層CNTである気相法炭素繊維(直径150nm,以下VGCF)の黒鉛化品を使用したマトリクス樹脂にはポリスチレン(Styron679)を使用した.複合材料は樹脂中にVGCFを均一に分散させるために,二軸の混練機によりトルクが一定になるまで混練したものを粉砕してペレットに状にして使用した. 試験片の成形には,たて型射出成形機(型締力35tf)を使用した.2プレート式で間にスペーサを入れることで30×30×2mmの薄板試験片を2枚成形することができる.可動側金型の一部にリニアガイドを設置し,任意のタイミングで成形品の表面にせん断力を付与することができる.スライドさせるタイミングは充満直後に設定量だけ手動で行った.また,可動側プレートの材質を変更することにより成形品表面の冷却速度を変化させることができる.今回は,3mm厚のベークライト板と真鍮板を使用した.VGCFの充填量は10vol.%とし,主に固定側の金型温度を変化させた. 試験片表面上のVGCFの突出の有無を調べるため,成形品を流動方向に沿って割り,光学顕微鏡を用いて横方向から観察した.成形条件により,成形品の表面に突出しているVGCFが観察できた.突出した部分の長さは最大でおよそ5μm程度であった.突出したVGCFの本数は型板の温度に大きく依存し,固定側の金型表面にのみ多く,その形態は金型の材質により大きく変化することがわかった.可動側金型に断熱性の高いベークライト板を装着して,固定側金型を120℃と著しく高温にすると4000本/mm^2最も多く突出することがわかった.これとは逆にベークライト側もしくは真鍮側の表面にはほとんど突出していなかった.また,突出している繊維の角度を調べた.いずれの条件でも繊維のほぼ半数がほぼ垂直に突出していることがわかった.また,型板のスライドの有無による突出本数の量への影響も調べた.流動方向と同じ方向にスライドさせる場合が正の方向,流動と逆方向にスライドさせる場合が負の方向である.型板を充満直後にスラィドさせることで突出繊維の本数に若干の差がみられた.突出のメカニズムは未だ明らかではないが,金型温度を高温に維持することにより樹脂が低粘度状態にある時,樹脂の流動で一様に配向し弾性変形したVGCFが回復する際に突出すると推測される.
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