Budget Amount *help |
¥4,000,000 (Direct Cost: ¥4,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2002: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Research Abstract |
本研究は,ポリマーの分子量,分子構造とその溶融状態における熱伝導率の関係を明らかにし,溶融ポリマーにおける熱輸送現象を明らかにするとともに,溶融ポリマーの熱伝導率の予測手法を確立することを目的とする. 本年度は昨年度に取得した高分子ポリマー(ポリカーボネート1種類,低密度ポリエチレン2種類,ポリプロピレン3種類,ポリスチレン1種類)の分子量,分子構造の測定結果に基づき,熱伝導率に対する詳細な分析を行った.なお,以下は等方的な物性を示すポリマーに対するものである. 1.分子量と熱伝導率の関係 重量平均分子量および数平均分子量ともに,分子量が増大するにともない熱伝導率は減少する傾向を示す.しかし,重量平均分子量に関してはばらつきが大きい.これは,分子量分布指数が熱伝導率にあまり影響をおよぼさないためである.一方,数平均分子量M_nと熱伝導率λはλ∝M_n^<-0.4>の関係で整理できることが分かった.上記の結果より,溶融ポリマーの熱伝導率は低分子量の高分子鎖の影響を顕著に受けるものと考えられる. 2.分子構造と熱伝導率の関係 側鎖構造に差異が見られる同一ポリマーにおいて熱伝導率の差は見られなかった.また,重合形式および立体規則性の差異は熱伝導率に影響をおよぼさないことが分かった.このことより,高分子鎖内の微細な構造差は熱伝導率にはさほど大きな影響はおよぼさないことが分かった. 以上の結果は,粘性係数や拡散係数と類似した傾向を示しており,熱伝導率も絡み合いの影響を顕著に受けていることが分かった.しかし,熱伝導率の場合,分散力により高分子鎖間のエネルギー輸送が最終的に重要な支配因子となってくる.そこで,今後は両者を分離できるモデル実験を行う必要がある.なお,実用的な熱伝導率の予測手法としては,数平均分子量M_nと熱伝導率λの間のλ∝M_n^<-0.4>の関係を用いることができる.
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