Budget Amount *help |
¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
圧電結晶を伝搬する弾性波は,圧電効果による静電界を伴って伝搬する.本研究では,弾性表面波(SAW)伝搬に伴う電界が結晶外に染み出すことを利用し,結晶近傍の誘電率分布を計測する装置の開発を目的とした.本研究では,染み出した電界のことをとくにエバネッセント圧電場と呼んでいる.本年度の研究では,(1)微粒子が液体中に存在する懸濁液として絵の具の測定,(2)液体自動計測装置の改良を行った. (1)は新しく取り組んだ研究課題である.絵の具/水溶液に含まれる顔料のセンサ表面への堆積は,質量変化としては捕らえることができない.しかし,界面の複素誘電率が異なるため,エバネッセント圧電場を用いると測定できることを実験により明らかにした.また50wt%を境にしてセンサ応答特性が大きく変わることが分かった.これは,水の中に絵の具が含まれている状態および絵の具の中に水が含まれているでは,試料の複素誘電率分布が大きく異なることを意味している.このようなことは,これまで弾性波を用いたセンサで見られたことはなく,エバネッセント圧電場によりはじめて見出された現象である. (2)はこれまで用いてきた液体自動計測装置とエバネッセント圧電場による液体測定システムの研究の継続である.従来,導電率が高い液体の測定には時間がかかり(試料によっては3時間)有効ではなかった.そこで,新しい手法として,センサ部の温度を変化させることを試みた.センサ部を試料液体よりも高温にすることにより,フローセル内で温度勾配が生じる.この温度勾配により物質の拡散時間が変わることを利用した測定法である.恒温槽を利用してセンサ部を間接的に加熱し,温度によるセンサ応答の違いを調べた.その結果,センサ部の温度が30度から40度に保たれているときが最適であることを見出した. 本研究により,エバネッセント圧電場により界面の新しい知見が数多く得られた.
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