Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
本研究では,湖沼・貯水池等の水域において,底泥直上の水柱から底泥表面へと移動する溶存酸素(DO)のフラックス(SOD)に関する検討を行った。研究代表者は,従来,水・底泥境界面近傍のDO濃度分布,およびSODに及ぼす底泥直上の流れの影響について検討を行い,SODを底泥表面直上の水流速と底泥内部でのDO消費速度の関数としてモデル化した。今回,これまでの研究を更に発展させて,底泥内部での微生物の増殖に伴うDO消費過程を詳細な検討結果に基づいて定式化し,これを従来の境界層モデルに組み込んだ。このモデルによって,底泥直上の環境条件の変化に伴う底泥内部の生物過程の応答,および水・底泥境界面近傍のDO濃度分布とSODの変化特性を調べるとともに,モデルの妥当性を微小電極を用いたSODの実験値との比較により検証した。 SODが流れの影響を受けるのは,水・底泥境界面直上に形成される濃度境界層の厚さが流れの影響を受けて変化するためである。モデルによるシミュレーションより,SODは界面直上の濃度境界層でのDO移動速度と底泥内部での微生物の増殖に伴うDO消費速度の両者に規定されることを明らかにした。両者のどちらか遅い方が律速となってSODが決まる。濃度境界層厚さは界面直上の水流速の影響を受けて大きく変化する。一方,底泥内部へのDO浸透深さは,流れの影響を殆ど受けない。底泥内部での微生物増殖速度は,界面直上の流速が大きい(濃度境界層厚さが小さい)とき,底泥の有機物や栄養塩含有量に依存する。他方,流速が小さい(濃度境界層厚さが大きい)ときには,微生物増殖速度の流速依存性は大きくなる。モデルによるSODの推定値を実験値と比較した結果,モデルは実験結果を良好に再現することを確かめた。本モデルは,現在開発が進められている湖沼・貯水池等の水質モデルと対応させることで,水域において水質を高精度に予測することが可能である。
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