既存建造物の機能転換と構造体の再活用に関する研究 -イタリア都市における古代ローマ円形闘技場遺構の公的再利用を中心として-
Project/Area Number |
14750535
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Architectural history/design
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
黒田 泰介 関東学院大学, 工学部, 助教授 (70329209)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 古代ローマ円形闘技場 / 機能転換 / 再利用 / 宗教施設 / VRイメージ / 中世都市 / イタリア都市 / 都市形成史 |
Research Abstract |
平成16年度は、これまで収集したデータを基に、円形闘技場遺構の「宗教施設化」と「公共施設化」の2つの再利用の機能について、データベースの整備と各事例の分析を行った。データベースは各事例について、円形闘技場の建築年・規模・現在に至る史的背景・現況写真・図面・3Dデータ・参考史料・文献索引等を含む。データベース作成と分析より得られた知見を基に、遺構の再利用の様態と、再利用の過程を明らかにした。 1.調査研究対象 宗教施設化した遺構18事例:アンコーナ、アオスタ、アレッツォ、スポレート他 公共施設化した遺構11事例:レッチェ、フィレンツェ、ルッカ、ローマ(コロッセオ)他 2.建築的特質の分析 上記データベースから各事例の再利用の手法を比較検討し、建築的特質の分析を行った。特にアレッツォ、アンコーナ、スポレートの遺構に関しては実測調査を行い、その特異な建築的特質を精査した。 3.史料・文献の分析 考古学的資料からは、各事例の初源的形態を明確化することができた。また都市建設に関する文書、都市とその周辺領域を描いた絵図、19世紀初頭の不動産登記台帳と地籍図等からは、再利用の史的背景および都市的文脈との関係性が明らかとなった。 4.VR技術による建築空間の記録と分析 遺構内外の特徴的な空間を記録したQTVRデータからは、再利用の手法および遺構の変遷過程を具体的かつ効果的に視覚化することができた。 各事例の現地調査に基づく詳細な分析からは、「宗教施設化」が他の再利用の機能と複合する場合が多いこと、特に「公共施設化」との複合が高いことが分かった。また都市形成史的な観点からは、円形闘技場の宗教的価値から遺構の再利用が進んだ例は少なく、むしろ多くの事例では、遺構が位置した市壁外地区の開発過程と再利用の内容と過程が密接に関係していることが明らかとなった。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)