Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
筆者らはこれまでに金属粉末射出成形(MIM)法によるFe-6Ni-0.5Mo-0.4C(mass%)合金の熱処理材において,引張強度が約2000MPaで伸びは5%を示すなど超強靭な特性を示すことを報告した.これは基地自体が固溶強化したことに加え,NiやMoの偏析による白色部組織を網目状に焼戻しマルテンサイト相が取り囲んだ微細な不均質(メゾヘテロ)組織に起因したものであった.従って,このメゾヘテロ組織の最適化を図れば,さらなる高強度化,高性能化につながるものと考えられる. 本研究では,不均質組織を担う白色部組織が基地中に均一に分散するように,新たに粉末の製造,混合および合成方法を取り入れるとともに白色部組織内における各種合金元素の拡散特性の制御を行うことで超強靭な焼結材料の創製を試みた. 研究結果を以下に示す. (1)添加合金元素であるNiならびにMoを基地中へより拡散させるため,各種元素粉末にメカニカルアロイングを施してMIM材を作製した結果,白色部組織内に流出孔は形成せず,引張強度1756MPa,伸び2.2%とMo粉末を単独で添加したMIM(2%Mo添加)材(引張強度1563MPa,伸び2.6%)と比較して優れた値を示した.しかしながら,粉末の酸化による密度の低下ならびに残留オーステナイト量の増加により,上記0.5%Mo添加材の高性能化にはつながらなかった. (2)高密度化を達成するため,微細なカーボニル鉄粉(平均粒径:1.8μm)を用いてMIM材を作製した結果,相対密度が約1%上昇し,引張強度1965MPa,伸び4.9%と優れた特性を示した.本試料は相対密度が96%と高密度であることから,焼結材料にとって重要な指標である疲労特性に優れるものと期待できる. 以上のことから,焼結低合金鋼のさらなる高強度化・高性能化には,メゾヘテロ組織を構成する元素の種類,濃度勾配および分散度合を制御するとともに焼結密度を上昇させる等,組織制御に関する基本指針が得られた.
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