Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
昨年度作製した試料(Fe-5%Cr-5Mn-10%V-2%C)では,熱処理を施しても硬度が低く,また,組織中にも僅かながらM_7C_3共晶が晶出していたため,曲げ強度があまり上昇しなかった.破面観察をした結果,き裂はやはりM_7C_3炭化物またはM_7C_3炭化物と基地の界面を進展しており,この炭化物の制御が重要であり,また,基地の硬度上昇も重要と考えられる.そこで,Thermo-Calcを用いて,M_7C_3炭化物が晶出させず,また,焼入れ温度域での基地中のC量が高くなるように合金設計を行った.Cr及びMn量をそれぞれ1%Cr,2%Mnへ減少させた結果,1273Kの温度域において,γ中のC量は約0.6%となることが予測された.実際に試料(2.5%C-1%Cr-2%Mn-4,7%V-4,3%Nb-0.3%Ti)を作製した結果,基地中には,微細なMC炭化物(初晶及び共晶)が晶出し,M_7C_3炭化物が晶出しない組織が得られた.これらの晶出炭化物量を測定した結果,11〜16%となり,Thermo-Calcの結果とよく一致するが,昨年度に作製した試料(16〜30%)よりは炭化物量は減少する結果となった.これらの試料を熱処理実験を行った結果,焼入れ試験では,やや温度の低い1223Kで最高硬さ850〜900HVを示し,この硬度は昨年度作製した試料より約150HV高い結果となった.この温度域でのγ中のC固溶量が十分に高い予測が得られていたため,Thermo-CalcによるC量の予測により,焼入れ硬さがある程度評価できると考えられる.焼入れ最高硬さを示した1223Kで焼入れ後,焼戻しを行った結果,焼戻し温度の上昇とともに硬さは低下していき,十分な焼き戻し二次硬化は得ることはできなかった.これは,焼戻し軟化抵抗を示す合金元素の減少によって,焼戻し時に生成される二次炭化物が抑制されたためと考えられる.これらの試料を用いて,曲げ強度の評価を行った結果,高炭素ハイス系合金と同等の強度を示した.摩耗試験は,基地部の硬さが高いため昨年度作製した試料よりは耐摩耗性は向上するが,粒状のMC炭化物が晶出しており大きくは向上しないものと考えられる.
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