Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
(1)キイチゴ属植物の自生種の探索および収集を行った。北日本地域には10種程度が自生していることが知られており、今年度は昨年度から収集することができるようになった2種に焦点を絞り、それらの種子を収集した。このうち1種は、自然環境保全法や自然公園法等で規制された地域に生育するもので、許可を得たうえで、探索・収集を行った。これまでに収集した自生種に加え、さらに多様な種および系統を得る必要があると考えられ、今後とも継続的に探索および収集を行う予定である。(2)欧米で育成された栽培品種・系統の収集を試みた。わが国で保有していない多様な種や栽培品種を輸入するため、米国から導入を図ったが、植物防疫所の検疫で不合格となり、今年度手元に届いたものは皆無であった。形質の優れた品種との比較検討および育種への利用の必要性から、今後とも継続的に導入を進める予定である。(3)分子系統分類のため、これまでに明らかにした葉緑体DNAにあるrbcL遺伝子領域等3か所の領域における塩基配列をもとに、最大節約法や近隣結合法等によって得られた系統樹を比較した。(4)昨年度に引き続き15品種・系統の樹体生育、生態的特性等の生育特性について評価を行うとともに、新たに19品種・系統を定植し、生育特性評価に供試した。自生種の1種が、自生地での生育に比較してほ場での生育が劣る要因について、光および水分条件から検討した。今後とも、生育および果実特性調査は、育種素材としての評価を行うとともに、地域の環境に適合した栽培技術を探るために、継続的に行う予定である。