塩基性多糖を基質とする新規な多糖リアーゼカテゴリーの提案
Project/Area Number |
14760043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用微生物学・応用生物化学
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
武田 穣 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (40247507)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 有鞘細菌 / Sphaerotilus natans / 鞘 / 多糖 / Paenibaclllus koleovorans / 構造解析 / Paenibacillus koleovoras / Shaerotilus natans / Paenibacillus koleovorans |
Research Abstract |
有鞘細菌Sphaerotilus natansの鞘から調製した多糖(鞘多糖)の構造を確定した。すなわち、鞘多糖は5糖→4)-β-D-GalNAcp-(1→4)-β-D-Glcp-(1→3)-β-D-GalNAcp-(1→4)-α-D-GalNAcp-(1→4)-α-D-GalNAcp-(1→を基本単位とする直鎖の塩基性ヘテロ多糖であり、新規な菌体外多糖であった。 鞘多糖の分解をもたらす酵素(鞘多糖分解酵素)の遺伝子の取得・解析し、大腸菌での発現による機能の確認を行った。鞘多糖分解酵素およびその遺伝子の由来は、鞘分解菌Paenibacillus koleovorans(研究代表者が単離、命名)である。同細菌より得られた構造運伝子は738アミノ酸残基からなるタンパク質をコードする2217塩基対で構成されていた。この遺伝子の周辺に鞘分解に関与すると思われる他の遺伝子は存在していなかった。解読した塩基配列は既知の多糖分解酵素遺伝子に部分的には類似性を示したが、全体的に有意な類似性を示す既知遺伝子はなかった。これは本遺伝子および酵素の新規性の高さによるものと思われる。本遺伝子を大腸菌に導入したところ、活性のあるタンパク質として発現させることができた。同酵素は作用未同定の多糖リアーゼとして、糖質関連酵素のデータベースであるCAZyに登録された。 鞘多糖分解酵素の特徴は多糖の分解(エンド型分解)に伴って反応液の紫外線吸収量が増大する点である。このような現象は加水分解型の酵素にはみられず、脱離反応型酵素(リアーゼ)の特徴である。しかし、既知のエンド型多糖リアーゼはいずれもウロン酸を含む酸性多糖を基質とし、塩基性多糖に作用するものは知られていない。酵素反応産物を精製してアルジトール化を施した後、プロトンNMR解析を行ったところ、1次元プロトンNMRスペクトルにおける低磁場域に二重結合の存在を示すシグナルが観測された。また、酵素産物は5糖と判明した。低磁場域のシグナルは非還元末端ガラクトサミン残基の4位であることが2次元プロトンNMRで予想された。2次元プロトン-カーボンNMRにおいて、2重結合は同残基の4位と5位の間にもたらされていることが判明した。このような不飽和ガラクトサミン残基は、ガラクトサミンを含む多糖をアルカリで処理することによって生じる(ピーリング)ことが知られているが、酵素作用によってもたらされた例は報告されていない。アルジトール化を施さない未処理の酵素分解物の構造決定(NMRシグナルの完全帰属)も程なく終了する見込みである、これを達成すれば鞘多糖分解酵素が塩基性多糖に作用する新規な多糖リアーゼであることが明確に示され、対応する新たなE.C.番号の提案が受け入れられるはずである。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)