Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
奈良県御蓋山および春日山に侵入した外来樹種,ナギとナンキンハゼの分布を調査するため,120haの範囲を踏査した.両種はともに,初期のシードソースであると考えられる春日大社あるいは奈良公園から離れるにつれて個体数は減少したが,その傾向はナギのほうが顕著であった.定着サイトはナギの場合は閉鎖林冠下,ナンキンハゼの場合は林冠ギャップが多かった.胸高直径10cm以上のナギは,その樹冠化にサイズの小さい個体を伴う場合が比較的多かったが,ナンキンハゼの場合はほとんど伴わなかった.これらの結果から,耐陰性と種子散布力の違いによる両種の更新パターン,すなわちいったん定着したサイトを維持し続けるナギと林冠ギャップをすばやく占有するナンキンハゼの戦略の違いが明らかになった.個体サイズと定着位置のデータを用い,クラスター解析により個体をグルーピングしたところ,ナギは4つの,ナンキンハゼは6つのサブ個体群に分類された.ナンキンハゼの場合は,奈良公園に近いサブ個体群ほど,個体サイズが大きく,サイズ構造はベル型の傾向があった.またナギの性比と雌雄株の空間的な位置関係を解析した.ナギの繁殖個体の性比は,小さいサイズクラスで雄に偏った.雌雄株の空間的位置関係をサイズクラス別に見ると,サイズの小さい雌雄株はともに集中分布を示すとともに,互いにランダムに混生していた.一方サイズの大きいクラスでは,雄株は変わらず集中分布を示すが雌株の分布は個体同士が一定の間隔をあけた規則分布であること,さらに雌雄株は排他的に分布することが示された.これは雌株を伴わない雄株のみのパッチの存在を意味する,このような空間構造の形成プロセスを推測するため隣接個体の込み合い度と個体の成長量との関係を解析したところ,込み合い度と雌株の成長量との間には負の関係が見られたが,雄株の成長量との間には見られなかった.
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