Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
本年度の成果は以下のようにまとめられる. 塩集積・溶脱過程における土壌中の陽イオン成分の挙動を明らかにするために,恒温室(温度33.7℃,湿度13.4%)においてカラム実験を行った.実験では,乾燥地の河川水を模した灌漑用水として海水を25倍に希釈した多成分系塩水を用いた.供試土壌はクロボク土である.蒸発促進のために陽光ランプ(約200W/m^2)を設置した.初期飽和状態から計測を開始し,蒸発量がほぼ定常となった後にリーチングを行った.カラムは,初期飽和直後,塩集積後およびリーチング直後に分解し,土壌の水溶性陽イオン,交換性陽イオン濃度,EC,pHを測定した.また,TDRセンサーとマイクロテンシオメータを挿入したカラムを設置し,土壌水分,マトリックポテンシャルと電気伝導度の連続測定を行い,塩集積・溶脱過程における土壌電気伝導度の変化傾向の把握を試みた. カラムの土壌成分の分析から,(1)Naイオン含量の多い水を供給しているにもかかわらず,土壌からの浸出水中のNa濃度は低く,相当量が土壌に保持される,(2)リーチング後の浸出水濃度はリーチング用水の塩濃度よりも大きいものの,その成分比は初期飽和後の浸出水とほとんど変わらない,(3)イオン交換反応がほぼ定常に達したと思われる,塩集積後の土壌中の水溶性,交換性Naのプロファイル分布とpHの分布とが非常に類似しており,両者には密接な関係があること,が明らかとなった. 一方,TDRセンサーによる測定から,(1)土壌水分量の低下によってバルク電気伝導度が大きく低下する,(2)低土壌水分域では,塩濃度上昇に対するセンサー感度が低下する,ことがわかった.このことから,低水分領域でのキャリブレーション精度をさらに向上させなければ塩集積に伴う,土壌の電気伝導度の変動傾向を定量化することは困難であるとの結論を得た.
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