Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Research Abstract |
ブタにおいて食肉処理場由来の卵巣から卵子を回収し,その卵子を体外成熟,体外受精させ移植可能な胚盤胞期までに発生させることは,遺伝子組み換えブタ作出のため必須の技術である.しかし,体外成熟卵子の発生能は体内成熟卵子に比較して著しく低いのが現状である.本研究では,昨年度に引き続いて,高い発生能を有する成熟卵子の作出法に関する基礎的研究を行った.昨年度において,FSH刺激により卵丘細胞でLH受容体が形成され,それを刺激することが卵子の発生能を向上させることが明らかとなった.そこで,このLH受容体形成機構を解明した結果,FSH20ng/ml刺激により形成が促進されること,さらにエストロジェンとの供作用により発現が増加し,プロジェステロンの作用によりmRNAの安定が生じることが明らかとなった.さらに,新規に卵丘細胞で形成されるLH受容体は,それを刺激されることにより卵丘細胞の増殖停止,分化誘導が行われること,この系にプロジェステロンとプロジェステロン受容体が介していること,LH刺激により増大するcAMPを介してPI3-kinase-PKB系が活性化し,これがプロジェステロン生産に必至なことなどが明らかとなった.これらを基とした培養系である,FSH+エストロジェンで10時間,その後プロジェステロンを添加して卵丘細胞にLH受容体を形成させ,LHで一時的に刺激する培養法により,効率よく多量のブタ成熟卵子を得ることが可能となった.この成熟卵子を用いて,体外受精,単為活性化処理などによる発生能を検討し,高い発生能を有することが確認された. 以上のように,本年度の研究成果により,ステロイドホルモンの作用を解明することにより,高い発生能を有する成熟卵子を簡便に多量に得ることが可能になった.
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