Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
本研究初年度では,インフルエンザウイルス(IAV)とA群レンサ球菌(GAS)との経鼻混合感染による劇症型GAS感染症の発症マウスモデルを確立させた.さらに,このマウスモデルを用いて劇症型感染症の発症機序について検討を行ったところ,IAV感染肺胞上皮細胞へのGASの付着・侵入の増強が同感染症発症の原因であることを明らかにした.研究最終年度では,(1)混合感染によって引き起こされる劇症型GAS感染症の発症に関与するGAS側の病原因子の検索,(2)同感染症に対する予防法の検討を行った.(1)GAS菌株からMタンパクとC5aペプチダーゼの発現に関与するmga,莢膜発現に関与するhasA,ストレプトリジンOおよびSを発現するsloとsls,SPEBを発現するspeB遺伝子をそれぞれ欠失させた変異株を相同組み換えにより作成し,これらの変異株を用いてマウスに混合感染させた.その結果,GAS莢膜を欠失した菌株との連続感染によるマウスの死亡率は20%と著しく減少し,肺で検出されるGAS数も野生株感染の時の100分の1以下にまで減少した.また,莢膜の欠失によってIAV感染による上皮細胞へのGASの付着・侵入能や,IAVとGASとの間に見られる直接結合もほとんど認められなくなった.(2)IAVワクチンによる連続感染による同感染症の発症の抑制効果の可能性を検討した.その結果,連続感染前でのIAVワクチンの皮下接種により,連続感染後のマウスの生存率が,22%から75%,にまで上昇した.以上の結果より,連続感染による劇症型GAS感染症の発症が,莢膜とIAV感染肺胞上皮細胞表層に発現しているIAV表層抗原ないし,細胞表面に存在するIAV粒子との結合を介したIAV感染細胞への付着・侵入の増強によることが強く示唆された.また,同感染症発症原因を除去することによる予防法として,感染前のIAVワクチン投与が極めて有効であることを明らかにした.
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