ABO血液型合成酵素の膜貫通ドメインの重要性とその変異に基づく血液型亜型の検索
Project/Area Number |
14770198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Legal medicine
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
畑 由紀子 富山医科薬科大学, 医学部, 教務職員 (30311674)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | ABO gene / alternative transcription / glycosyltransferase / Golgi retention / transmembrane domain |
Research Abstract |
ABO式血液型遺伝子は第9染色体長腕34に位置し、約19kbにわたる8個のエクソンからなる。転写はエクソン1とエクソン1aから始まり、エクソン1とエクソン1aはともに赤血球系細胞と上皮系細胞の両方において転写開始のエクソンとなっていることをすでに報告している。エクソン1aからの転写産物もA抗原を産生するA合成酵素であることを示し、この血液型合成酵素は膜貫通ドメインに存在する翻訳開始点から翻訳されるため、N末端の欠失したタンパクであろうと考えられた。また、血液型合成酵素の75〜354アミノ酸残基は糖転移反応に関与し、膜貫通ドメイン及びその下流の17〜74アミノ酸残基は血液型抗原合成の必要条件であると考えられ、これらのことは昨年度報告した。本年度は、膜貫通ドメイン内及びRNAスプライシングサイトの変異が、血液型亜型の要因となっているかを検討した。エクソン6及び7に変異のない血液型亜型A_3,A_<el>,A_x,A_<mos>のgenomicDNAのエクソン2、エクソン3及びそのイントロン/エクソン境界の塩基配列を調べたところ、膜貫通ドメイン内の変異として、血液型亜型A_xでエクソン3内の106番目の塩基がG→T(この変異により36番目アミノ酸のVal→Pheとなる)になっていた。この膜貫通ドメイン内のアミノ酸置換を伴う変異による血液型抗原の発現への影響を検討した。変異型のA合成酵素発現ベクターを作製し胃癌培養細胞に導入しA抗原の発現を免疫染色及びFACS解析したところ、A抗原の発現は十分認めらた。このことから血液型合成酵素の106番目塩基G→Tへの置換は、血液型亜型A_xの要因にはならないことが示された。最近、血液型亜型のB_3ではRNAスプライシングサイトの変異によりエクソン3のスキップが起こることが報告された。エクソン3にコードされる膜貫通領域の欠失がB_3亜型形成の要因として考えられる。別の糖転移酵素において、膜貫通ドメインはゴルジ装置への局在に必要であることは報告されているが、血液型合成酵素における膜貫通ドメインの機能の解析については今後の課題である。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)