タモキシフェン誘発非アルコール性脂肪肝炎(NASH)における肝傷害発症機序の解明
Project/Area Number |
14770236
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
根本 禎久 高知医科大学, 医学部附属病院, 助手 (10335945)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | PPAR-α / NASH / estrogen / tamoxifen |
Research Abstract |
抗エストロゲン剤tamoxifenはエストロゲン受容体陽性の乳癌を有する患者の生命予後を劇的に改善する。このため、本邦では年間5万人発症する乳癌患者の内、3万人以上がこの治療を受けている。このような患者の乳房温存治療に際し、治療開始後2カ月〜3年以内に日本人女性乳癌患者の実に36%で、高度で急速に進行する脂肪肝が生じる。その病態を明らかにする過程で、高度の脂肪肝を生じた患者さんは肥満に乏しいにもかかわらず全身性の脂質代謝異常を生じていること、その半数が肝障害をきたすこと、検索し得た症例では病理組織像がnon-alcoholic steatohepatitis(NASH)の所見に合致することを我々は明らかにした。そこで、私はエストロゲン欠損マウスを作成し、その病態を解析したところエストロゲンは脂質のβ酸化に深く関与しており、その欠損により脂質のβ酸化能が著しく低下し高度の脂肪肝を生じることを明らかにした。この結果を基に今回このマウスにPRAR-α刺激剤であるbezafibrateを投与すると脂質のβ酸化能が改善し、組織学的にも改善することを明らかにした。この成績は、患者においてもPPAR-α刺激剤であるbezafibrateが脂肪性変化の改善に大きく寄与しうることを示唆する成績である。このように疾患の発見、病態の解析、治療法の開発を行った結果、tamoxifenは病因の明らかなNASHの誘因物質として教科書にも記載されるようになった。現在、世界標準治療となった乳房温存療法を安全に施行するためにはNASHの予知・予防が不可欠と考え、平成12年度日本医師会研究助成を受けて以来、本症の周知、予防に取り組んでいる。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)