Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
IgA腎症は日本において最も頻度の高い慢性腎炎であり,小児,成人双方で重要な疾患である.本症の遺伝子的な背景は以前より想定されているが発症因子としては未だ不明である.近年,ウテログロビン(UG)遺伝子のノックアウトマウスやアンチセンス導入マウスが,ヒトIgA腎症類似の病変を呈することが報告された.我々はヒトIgA腎症におけるUGの役割に早期から着目し分子生物学的手法を用いて研究してきた.その結果UG遺伝子異常として38番目のグアニンからアデニンへの変異(G38A)が検出され,そのホモ接合体は,特に小児期発症のIgA腎症患者に高頻度に認められた.病理学的検討では,成人においてG38ホモ接合体の患者の組織障害が高度であった.血清UG値は,成人女性においてG38Aホモ接合体の患者がその他の患者に比べて有意に低値を示した. また,血清IgA値が2000mg/dl以上と極めて高値を示したIgA腎症の男児のUG遺伝子,血清UG値,組織障害について検討し報告した.その結果はG38Aヘテロ接合体であり,血清UG値は2.19μg/lと比較的低値を示していたが,腎組織障害は軽度であり腎糸球体へのIgAの沈着も中等度であった.このことは,IgA腎症の組織障害やIgAの沈着度合いは,血清中のIgA値とは無関係で,むしろUGやフィブロネクチンが関与する可能性が示唆された. IgA腎症はもともとheterogenousな疾患群と考えられている.UG遺伝子の各多型について腎組織をフィブロネクチン免疫染色を施行したが3群間に明かな差異は認められなかった.このことからIgA腎症の中には,血清IgA値でもフィブロネクチンでもなくUG遺伝子異常が発症要因となる一群が存在すると考えられた.今後,特に様々な増悪因子に暴露される前の小児例を検討することで発症因子としての遺伝的背景を発見できる可能性がある.
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