Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ラットにおける、カイニン酸投与によるけいれんモデルを確立した。カイニン酸の腹腔内投与法では、用量依存的に痙攣の強度は増した。そしてその傾向は成獣ラットと同様に、幼若ラットでも認めた。カイニン酸の投与から経時的に脳組織を採取し、検討を加えた。病理学的検討では、海馬の神経細胞の脱落が認められた。さらにその後には海馬顆粒細胞の発芽を認めた。さらに採取組織からmRNAとタンパク質をそれぞれ抽出、精製し、RT-PCR法とwestern blotting法により種々の分子の経時的な発現の変化を検討した。一酸化窒素合成酵素、Bcl-2、Badや、さらにc-fosやc-junなどの最初期遺伝子の発現の一過性増加を認めた。イムノフィリン、カルシニューリン、カルモジュリン、グルタミン酸受容体(NMDA型、AMPA型、KA型)の変化については、現在データを集積中である。カルシニューリン阻害薬の投与に関してはCyAは分子量が大きく、中枢神経系への到達がFK506に比して不十分であることから後者でin vivo投与を、また両者でin vitro投与を行った場合の上記分子の、経時的変化についても現在データを集積している。さらに今後は、海馬標本における長期増幅現象や長期抑圧現象の誘導における変化をパッチクランプ法を用いて検討する予定。また、脳虚血モデルも頚動脈疎血法により作成した。このモデルにおける、上記分子の経時的検討に関しては、現在データを集積中である。