Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は、TrueFISPシーケンスに代表されるcoherent SSFP撮像法によって得られる位相画像が磁場の不均一性の影響を受けにくい特徴を持つことに注目し、TrueFISP位相画像補正法を確立し、画像領域分割や信号ノイズ比の向上などに応用することで、臨床支援を行うことである。特に本年度は、非線形位相補正法の開発と、昨年度末に我々が開発した、TARD法における信号の動態解析及び応用を目的とした。初年度の研究の結果、位相画像補正法として線形補正を用いた場合、コイルやインピーダンス分布などに起因する非線形特性を補正出来ないだけでなく、コイルの持つ特異点のために補正プログラムの終了が保証されないという問題が明らかになった。そこで、複素画像に対して平滑化をかけて得られた位相画像を、もとの位相画像から引くことにより、非線形補正を行う手法を考案した。ただし、単に平滑化をかけただけでは、ケミカルシフトにより位相が反転する境界の領域や特異点周辺で、位相分布が破壊されてしまうため、3x3の小領域の複素数データを複素数空間にプロットした上で、背景か臓器部位かの検定を行うとともに、補正位相成分を推定する手法を考案した。その結果、臨床で使用するには計算時間が長すぎるものの、線形補正では位相補正ができなかった画像でも、補正が可能となった。TARD法な、coherent SSSFP法における初期アーティファクトを軽減する目的で開発された、簡便かつ有効な手法であるが、RFパルスの位相を調整するため、得られる位相画像均一性が失われる可能性があった。本研究でファントム、ボランティア実験を行った結果、位相画像の均一性は失われず、加えて、撮像パラメタを調節することにより、脂肪抑制が可能であり、また昨年度、3T-MRI装置の問題点としてあげた、スライス面内に流入する血液に起因するアーティファクトも軽減出来ることが分かった。