Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究では,難渋する脊髄損傷の根本的な治療法を開発するべく,神経幹細胞を用いて,損傷中枢神経伝導路の再生誘導と,運動麻痺の治癒を目指した.Wistar ratを用いて,脊髄の挫滅巣を作成し,上行性及び下降性伝導路に損傷を加えた. 組織学的検討を加える過程で,損傷を受けた多くの例で,脊髄内に空洞が形成されるのに気付いた.癜痕組織scarが脊髄内で,再生軸索の伸長の,物理的な障害になっていることは以前に明かにしたが,併せて,この空洞が,再生の阻害因子と考えられた.一方で,こうしたscar,空洞が形成されなかった例で軸索標識を行うと(皮質脊髄路及び後索),軸索は何ら制限を受けることなく,著明な再生を示した.ラットが生後1ヶ月以内の幼若例では,空洞が形成されない症例も多数あり,そうした例では,この再生傾向は極めて顕著であった.ただし,生後2ヶ月以上の成ラットでは,殆どの例で,自然再生は極めて希であり,再生を誘導するべく何らかのtreatmentを必要とした. 我々は神経幹細胞の軸索誘導に対する意義を明確にすべく,培養した神経幹細胞を,成ラットの損傷脊髄に移植した.従来神経幹細胞はmulti-potentであるとされ,軸索が寸断された損傷部では,これをrelayする効果も理論上は予想されたが,実際にはこうした状況は観察されなかった.一方で神経幹細胞により著明な軸索の再生が誘導された例も認められた.こうした例で共通しているのは,神経幹細胞は常に,再生軸索の足がかり(guidance cue)として機能していた. 以前より我々は,中枢神経は潜在的には大きな再生能を有すること,損傷部位の微小環境を整えることの重要性を示してきた.神経幹細胞を用いた本研究により,こうした概念の正当性が再確認され,今後の研究を方向付ける重要な成果が得られた.
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