Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
ヒト卵巣顆粒膜細胞腫由来のKGN細胞を研究対象とした.KGN細胞におけるHGFとその受容体であるc-met遺伝子の発現をRT-PCRにて検索した.HGFを添加,培養して細胞増殖能をBrdU法で検討した.KGN細胞にゴナドトロピンあるいはHGFを添加し,48時間後の培養上清中のプロゲステロン(P4)濃度をEIAで測定した.さらに,ステロイド合成に必須であるStAR蛋白発現に及ぼすHGFの影響をWestern blot法で評価した.HGFのシグナル伝達について,MAPK(ERK1/2),Akt,PKCおよびSTAT3と転写因子Elk-1の各々のリン酸化蛋白の発現をWestern blot法で検索した.KGN細胞にc-met遺伝子発現を認め,莢膜細胞と卵巣間質細胞にはHGF遺伝子発現が観察された.HGFの添加はKGN細胞の増殖を濃度依存性に促進し,100ng/mlの添加では対照の142%となった.KGN細胞におけるP4産生は,LHの添加により対照の1.5倍に増加したが,HGF(50ng/ml)の添加により対照の78%に抑制された.HGFの添加によりStAR蛋白の発現は減弱した.HGFの添加はAkt,PKCならびにSTAT3蛋白を活性化しなかったが,ERK1/2およびElk-1のリン酸化蛋白を増加させた.MEK1/2阻害剤(U0126)はHGFによるERK1/2のリン酸化を阻止し,HGFの増殖促進効果を減弱した.一方,PKA阻害剤(H-89)はERK1/2のリン酸化を増強し,HGFによる増殖をさらに促進した.莢膜・間質細胞に発現するHGFは,パラクリン因子としてMAPKならびにPKA経路を介して顆粒膜細胞の増殖を促進し,P4産生には抑制的に作用することが初めて示された.
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