Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本年度の研究で以下の検討を行った。1 マウスの蝸牛を器官培養しネオマイシン、カルパインのinhibitorとしてロイペプチン、カスパーゼのinhibitorとしてBoc-ASP(Ome)-fluoromethyl ketone (BAF)を用い、ネオマイシンによる有毛細胞数の減少を内外有毛細胞それぞれで検討した。2 また先の2つの酵素のinhibitorを用いることで、その有毛細胞数の減少をどれだけ軽減できるかを比較した。3 さらにTUNEL法と電子顕微鏡による観察によってネオマイシンのよる有毛細胞死がアポトーシスであることを示した。実験によりネオマイシンによる有毛細胞の障害は法度依存性に認められ、外有毛細胞ではより低濃度から障害されることが分かった。ロイペプチンはネオマイシンによる有毛細胞数の減少を著明に軽減する効果を示したが、BAFはロイペプチンの著明な効果と比較すると軽微な効果であった。ネオマイシン単独の組織とBAFを加えた組織ではコントロールには観察されないTUNEL陽性細胞を多数認めたが、ロイペプチンを先に加えるとネオマイシンを加えてもコントロールと同様にTUNEL陽性細胞は認められなかった。さらに培養組織から切片を作成し、電顕にて有毛細胞を観察した所、アポトーシス変化を認めた。これらの結果より、アミノグリコシドによる有毛細胞数の減少はアポトーシスの経路をたどり、その経路には一般的に知られているカスパーゼのみならず、カルパインも重要な役割をはたしていることが示唆された。以上の成果は論文投稿中である。(Ann Otol Rhinol Laryngol)