Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
聴性定常反応研究を基礎的・臨床的双方の面から行った。基礎研究として、前年度にトロント大から有償提供された研究用聴性定常反応測定装置MPASを使用して、音響刺激パターンと誘発反応の関係についての研究を開始した。しかし、システムとしてのノイズがいまだ高い状況であり、先方と相談しつつ装置の改修を行っている状況である。一方、臨床測定については国内ではじめて臨床用の定常反応聴力検査装置として認可されたMASTER(Biologic Corp.)を使用して、健聴者成人に対して測定を行った。健聴者を対象にした測定では、測定は7名の成人被験者(男性1名・女性6名、21-30歳)を対象とした。MASTERでは左右同時で4周波数ずつ計8周波数で定常反応測定が可能であるが、本年の検討では刺激周波数-振幅変調周波数の組で、左耳が750Hz-82Hz・1500Hz-84Hz・3000Hz-87Hz・6000Hz-89Hz、右耳が500Hz-91Hz・1000Hz-94Hz・2000Hz-96Hz・4000Hz-99Hzの刺激とした。さらに、振幅変調に加え周波数変調を併用するMixed Moduration(MM)刺激と正弦波的振幅変調の2乗の振幅変調を行うAM^2刺激の2パターンの刺激を使用した。刺激音圧変化に対して、定常反応の振幅および位相が以下に変化するか、および定常反応波形の周波数分析後の変調周波数成分の周囲の周波数成分との間でF検定により反応検出の有無を判定し、反応を検出しえた最小の音圧を求めた。振幅とは30dBHL以上の大きな音圧ではMM刺激のほうが振幅が大きく、位相はいずれの音圧ともAM^2刺激のほうが進む傾向を示した。しかし、10dB-20dBHLではAM^2刺激の方が振幅が大きく検出閾値もはAM^2刺激の方が小さくなる傾向であった。