Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
毛包における毛周期は、成長期(Anagen)、退行期(Catagen)、休止期(Telogen)から成るとされている。我々は、同種移植片拒絶のおけるIFN-γの役割を解析する過程において、7週齢を過ぎたIFN-γKOマウスの頭部〜背部に局所脱毛がおきるという非常に興味深い現象に遭遇した。この脱毛マウスの発毛誘導において、IFN-γのみ投与しても発毛は認められないが、IFN。γと同種移植により脱毛部の発毛を誘導することができた。これにより、同種移植片拒絶により誘導されたサイトカインの中に毛成長関与分子が存在し、IFN-γ存在下に発毛が誘導されることが示唆された。また、C57BL/6マウスに同種異系細胞であるBALB/Cマウスで継代した腫瘍細胞(Meth-A)を腹腔内注射することによって得られた浸潤細胞(注射後3・4日目)を、IFN-γKOマウスに腹腔内注射すると、同様に脱毛部の発毛を誘導することができた。我々はこの研究にて、本学機器共同利用センターに設置されているCell Sorter(BD)を利用して、発毛を促進するF4/80^+マクロファージと、抑制するLy-6C^+マクロファージを見出した。(投稿中)同種異系移植片によって誘導された浸潤細胞の中に、発毛を促進する同種移植片拒絶により誘導されたサイトカインの中に発毛を促進するF4/80^+細胞、抑制するLy-6C細胞の存在を認めたことは臨床面への展望を広げた。更に毛成長因の利用により、脱毛部位に対し発毛クリーム、多毛部位に対しては抑制クリームなどの具体的な治療法の開発が期待できる。