Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
末梢組織の炎症による歯痛伝達への修飾作用に対するセロトニン受容体の役割を明らかとするために,手掌皮膚へカラゲニン投与により急性炎症を誘発させ,免疫抗体染色法を用いて,カラゲニン投与による第一頸髄角(C_1)領域で5-HT_3受容体の数的変化がタンパクレベルで起きているか否かを検討した。 Witar系雄性ラット(300-320g,6匹)を麻酔後,前肢足底へ0.9%-NaCl(対照群)と起炎物質カラゲニン(6mg/0.15cc,実験群)をそれぞれ皮下投与した。カラゲニン投与による炎症の指標は,薬物皮下投与前後の前足掌の厚さを計測することで炎症性浮腫の形成を定量化した。24時間後,動物を深麻酔し,ホルマリン灌流固定後にC_1領域を取り出し,前額断厚さ40μmの凍結切片を作成した。続いて,両群において5-HT_3受容体抗体に反応させ,ABC法処置後,DAB染色により受容体の発現(陽性細胞)を判定し,定量化・2群間において比較解析した。 その結果,実験群のC_1領域炎症側の5-HT_3受容体陽性細胞は,対照群と比較して有意に増加しており(対照群65.7±6.5v.s.実験群99.2±7.6 cells/section, p<0.01,n=18,増加率51.0%),C_1領域の浅層(I-II層)において特に強い増加が観察された(増加率I-II層53.5%,III-V層34.6%)。C_1領域非炎症側においては,対照群と実験群との間で有意な変化は観察されなかった。 以上の結果より,前肢皮膚へのカラゲニン投与24時間後の炎症は,C_1ニューロンにおける5-HT_3受容体のタンパクレベルでのup-regulationを誘引することが判明した。すなわち,遠隔皮膚の炎症により,5HT_3受容体を介するセロトニン作動性下行性疼痛抑制系が賦活化され,その結果,歯痛伝達が抑制される可能性が示唆された。
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